喧騒が去ったアインツベルンの城。 さて、これからどうするかと、遠坂と顔をつきあわせて唸る。 ここに来るまでに、色々あった。 キャスター陣営にセイバーを奪われ。 よりにもよって、そのタイミングでアーチャーの奴が裏切り。 ならば誰かと共闘するかと、所在の知れているバーサーカーのマスターのいる アインツベルン城へきたら、そこではひとつの戦いが終わろうとしていて。 戦いというよりも、一方的な虐殺。 バーサーカーをいとも簡単に葬ったのは、ギルガメッシュだった。 あいつ、本当に強かったんだなと、本人が聞けば激怒ではすまされないような 失礼な感想を抱きつつも、こっちが今、大変な時に、更に引っ掻き回すような ギルガメッシュの行動に、かなり苛立ちもあり。 それでも、しばらくは身を隠して静観していたら。 脱落したはずの慎二がギルガメッシュの傍にいたことに気付く。 バーサーカーを失い、茫然自失だったマスター、イリヤスフィールを 慎二は昏倒させ、連れ去ろうとした。 そこで、どうにも我慢ならなくなり、俺は二人の前に飛び出していた。 何かを言う慎二を無視し、ギルガメッシュと相対する。 「…お前。何をやっているんだ。」 声低く問えば。ギルガメッシュはさも可笑しげに。 「今の我のマスターはシンジでな。マスターの意向に沿っているだけよ。」 そんなことを言う。 ギルガメッシュのマスターが、慎二、だと? 間違いなく綺礼も絡んでいるなと、俺は頭が痛くなる。 と、慎二が不機嫌そうに怒鳴りつけてくるから。 仕方なしに慎二の方に目をやれば。 「そうだ言峰。土下座して、助けてくださいって僕に頼むんなら、 手を組んでやらないこともないぜ。」 そう提案してきた。 ギルガメッシュは、どうするのだ雑種、とでも言うような表情。 っ、この。完全に愉しんでいやがる。 2へ続く