教会に戻ると運悪く。 綺礼だけでなくランサー、ギルガメッシュとも鉢合わせた。 綺礼は、やはり喚んだか などと満足げに頷いているし。 「気付いていたなら言えよな。」 そう言った俺に。 「言ったところで、どうにもなるまい。 お前がこの聖杯戦争のマスターとして選ばれることは 決定事項だったのだろう。 試練だとでも思って、受け入れることだ。」 そんな勝手なことを告げて、さっさと私室に引っ込んだ。 そして残された俺とサーヴァント三人。 赤 黄 青 「…見事にそろったな。」 信号機―と思った俺の顔の横を、ひゅん、と何かが飛来し、 後ろの壁に、たん と突き刺さる。 頬をわずかに切り裂いたそれは、ナイフ。 「今。我を愚弄しただろう、雑種。」 犯人はギルガメッシュ。 というか、珍しく勘がいいな。 俺とギルガメッシュが相対していると。 残りの二人もなにやら向かいあっていて。 「しかし今回は、本当に運が無ぇな。 貴様が敵なら、真っ先に、ぶっ倒してやったものを。」 青い槍兵が、そう言えば。 「奇遇だな。私もそう思っていた所だ。」 赤い弓兵も、真っ向から挑発を受け取る。 二人同時に殺気が膨れ上がった。 「待った。教会で刃物振り回す気か、お前ら。」 俺が見かねて二人の間に割って入ると。 「そもそもは、貴様の存在自体が間違いだな、コトミネシロウ。」 わざとらしくフルネームで俺を呼ぶアーチャー。 安い挑発だが。 「…喧嘩、売る気なら買うぞ。」 俺が笑みさえ浮かべて言えば。 「なら俺は、坊主についてやる。」 ランサーが嬉々として言ってくる。 「ランサー、お前、単にアーチャーと戦りたいだけだろう。」 俺のつっこみには、ニヤリと笑みを返し。 ランサーは得物を手にし、構える。 って待て。宝具を出すか。 アーチャーまでいつの間にか両手に剣を持ち、構えているし。 弓兵のくせに双剣?しかもあれは、宝具じゃないよな。 そんな風に思っていたら。 その後2へ続く