昼間の風景3





【アーチャー】 「すまない。待たせてしまったな。」 そうセイバーに声をかけて、テーブルに出来上がった食事を並べていく。 ほうれん草とベーコンのクリームパスタをメインに、 サラダとスープ、パンをいくつか。 見るとセイバーは目を輝かせていて、自然こちらの口元も緩む。 どうすべきか迷ったものの、付き合うべきだろうと パスタだけ自身の分も用意して、席についた。 「…では、いただきます。」 礼儀正しくセイバーはそう告げてから、フォークを手に取り一口パスタを口にする。 こくこくと頷き、そのまま黙々と食べ始めた。 どうやらお気に召してくれたらしい。 しばらくその様子を眺めていると、視線に気付いたセイバーが少し頬を染め、 「な、何ですかアーチャー。」 口のなかのものを飲み込んでから問いかけてくるので、 「感想を聞かせては貰えないのかな?」 そう聞いてみると、セイバーはむ、と一度口を噤んでから、 「とても美味しい、です。」 少し悔しさを滲ませながらも、賛辞の言葉をくれた。 「それは何よりだ。」 その言葉に満足を覚えながら、こちらも答えを返して。 フォークを手に取り自分も食事を開始することにした。 しばらく食器が触れ合う音だけが続く。 ふと、 「貴方と、このような時を過ごせるとは、思っていませんでした。」 セイバーがそんなことを、ぽつりと口にした。 「……私もだよ、セイバー。」 確かに、このサーヴァントという身でこんな日常を共にすることなど、 本来なら無いことだと思い至り、静かに同意する。 「不思議なものですね。」 ふふ、と淡く微笑むセイバーに、 私も、まったくだ、と自然に微笑みを返すことが出来た。