士郎+剣+槍+弓+凛 「………珍しいものだな、ランサー。」 「それはこっちのセリフだ、アーチャー。」 「はいはい、その辺にしておきなさい。 でも珍しいわよねランサー。あなたが士郎の家にきてるなんて。」 「まあ、ちっと気が向いたからな。」 「遠坂。っと、まだ時間じゃないよな?」 「ええ。構わないでしょ?それより、いいもの食べているじゃない。」 「遠坂の分もちゃんと買ってきてるぞ。」 「やった!とってくる。アーチャー、あんたの分もとってきてあげるわ。」 「待て、凛。私は別に必要ない……って話を聞きたまえ…!」 嵐のように赤い二人がやってきたと思ったら、あっという間に立ち去っていった。 セイバーは我関せずといった風に、黙々とアイスを頬張っていて。 「…本当に、今日は珍しい日だな。」 思わず呟く。 セイバーと遠坂がいるのはいつも通り。 ランサーとアーチャーがここにいるのは珍しい。 「ま、こんな日もあるだろ。」 「アーチャーに喧嘩、売るんじゃないぞ。」 「それは向こう次第だろ?」 「……アーチャーの奴も、意外に大人気ないしな…」 「坊主に言われたら、おしまいだな。」 「む。」 ランサーを睨む。が、効き目は無い。 そうこうしているうちに、遠坂とアーチャーが戻ってくる。 遠坂はセイバーの隣に腰を下ろして、鼻歌混じりにアイスを口に運び始めた。 アーチャーは眉間に皺を寄せて、なんともいえない表情で立っていた。 が、何かを諦めたように溜息を一つ落として、ランサーの隣に腰を下ろす。 そうして黙々とアイスを食べ始める。 こいつ、本当に遠坂に弱いな。 いや、自分も他人事ではないが。 とりあえず食べ終わるまでは大人しくしているつもりらしいランサーが、ばたりとまた寝転がる。 アイスを食べているアーチャーの顔を見てみると、少し柔らかい表情。 アーチャーもやっぱり暑いんだろうな、などと思っていると視線が合って。 「…何だね、衛宮士郎。」 いつも通りのトーンで、変わらない問いかけに、何でもないと少し笑って返すと、 何か言いたそうな微妙な貌をしつつも、またアイスを口に運び始める。 こんな日も、うん。悪くはない。 暑さと蝉の声と、アイスの冷たさ。 因みに。 アーチャーのアイスは半分以上がセイバーに譲られた。 「…口をつけたものでも構わないのなら、残りは君が食べるといい。」 「え?あ、はい……ありがとうございます。」 うん。そりゃ、あんな熱い視線、送られればなぁ。 全種類違うアイスを買うべきじゃなかったか。 殆どのアイスは、セイバーの腹の中におさまるという結果になったのだった。