そんな会話を交わしながら、俺とアーチャーは買い物袋を両手一杯にぶら下げて、 並んで教会への帰路につく。 日は沈みかけて、長い影をつくる。 「…士郎。」 アーチャーが静かに名前を呼んできて。 答えるかわりにアーチャーを見ると。 「お前はもっと、生者に目を向けるべきではないかね。」 そう、言ってきた。 「…そんなこと、わかってるさ。 けど、仕方ないだろう。惹かれてしまったんだから、お前達に。 どうせそう長くは続かない。 なら、いいじゃないか。今はこうしていたって。」 俺はそう言って、一度、目を伏せた。 アーチャーは、それ以上、何も言わなかった。 「そういえば、俺とアーチャー、似てるって言ってたぞ。 遠坂とセイバーと、あとイリヤも言ってたな。」 「…迷惑な話だ。」 「不思議だよな。みんな俺達の関係、知らないはずだが。 …俺は、お前と似てるとは思わないけど。 俺達、歳の離れた兄弟、みたいに見えたりしてるのかな。」 「…さてな。」 とりとめの無い、話をする。 辺りを赤く染める、夕日の中。 「衛宮士郎に、会いたかったか。」 俺は、訊いた。 アーチャーの気配が、変わる。 「違うな。衛宮士郎を、殺したかったか。」 訊きなおす。 アーチャーは、答えない。 ただ真っ直ぐ、見えない何かを、見ている。 沈黙が、答えなんだろう。 答えるまでも無く、変わらない唯一つの、アーチャーの希み。 俺は、こいつに結局、何も言えやしない。 俺は、衛宮士郎じゃない。 アーチャーの過去じゃない。 その理由が、殺す為でも。 アーチャーは、唯一人を、焦がれ続けている。 3へ続く