そんなやり取りがあって、俺はとりあえずの日常に戻ってきたわけだ。 相当、存在感があったのだと思い知った、綺礼の不在の空白に、 数日は戸惑ったが、それも三人のサーヴァントの存在に紛れていった。 「おい坊主、まだ用意できねぇのか?」 ひょい、と顔を覗かせてきたのはランサー。 ランサーの現在の仮のマスターは遠坂だ。 サーヴァントを現界させるには、どうしてもマスターがいる。 俺は、アーチャーとギルガメッシュで手一杯だ。 (ギルガメッシュは受肉しているので、現界するだけなら多くの魔力は 必要無いらしい。まったく必要無い、というわけではないので、 まぁ時々で足りるなら、なんとか俺が面倒みれるだろうと。 というか、俺にしかみれないというか。 なんでこんな手間がかかるのに助けてしまったんだろうと 思いかけて、結局なんだかんだ言って、好んでいるからなのだ、 という事実に落ち着く) そこで遠坂が、現界維持だけでいいならと言ってくれたのだ。 遠坂はもちろん、セイバーと契約している。 が、遠坂は俺よりずっと魔術師として優秀なので、現界させるだけなら 二人のサーヴァントと契約しても、なんとかなるのだろう。 遠坂によると、一応そいつには借りがあるから、とのこと。 ただ、面倒をみるのは、あなたの役目でしょう、と言われ、 ランサーはマスターは遠坂だが、ラインは繋がっているから離れていても 支障は無いと、この教会で以前のように生活している。 「今やってる。手伝う気が無いなら向こうでおとなしく待ってろ。」 素っ気無く俺が言えば。 「あー、オレはそのつもりだったんだけどよ。 ギルガメッシュの野郎が様子を見て来いって鬱陶しくてな。」 うんざりしたように言うランサー。 「く。それで使い走りか。狗には似合いだな。」 ここぞとばかりに挑発するアーチャー。 「…よく言った、アーチャー。」 そんなアーチャーに壮絶な笑みで応えるランサー。 こいつら本当に、仲悪いな。 いや、いっそ良いのかもしれない。 この二人なりのコミュニケーションとか。 ……迷惑きわまりない。 エピローグ1−3へ