俺と遠坂は顔を見合わせて。 「…居間、か」 「…そうみたいね。」 頷き、急いで上に続く階段を駆け上がる。 「遠坂!扉が開かない!」 「なんだっていうのよっこんな時に!」 「合わせろ遠坂!」 「あんたが合わせなさい士郎!」 言って、一瞬目をあわせ。二人同時に扉に渾身の力で蹴りを入れる。 上手く息が合い、扉は一撃で開いた。というか半ば粉砕された。 そうして目に飛び込んできたのは、居間の惨状。 まるで台風でもきたかのように家具という家具が壊れ散乱し。 その壊れた家具の上に。 呆然と座り込む 金の髪 蒼と銀の装束を身に纏う少女と。 どっかりと座り込む、褐色の肌 赤い外套の男がいた。 少女はすぐに我に返ると、近くにいる褐色の男を認識してその男と間合いをとる。 といってもここは、家の居間なので距離はしれているが。 油断無く、目には見えないが、何かを構え。 「貴方もサーヴァント、ですね。」 凛とした声でその男に問う。男は眉をしかめ。 「そうだ、と言えばどうする気かな。随分と好戦的なお嬢さんだ。」 そんな風に相手を挑発するような、嫌な言い方をする。 平静を装ってはいるが、どうも男の方も混乱し、苛立っているようだ。 ぎり、と少女は歯噛みし、一度瞼を閉じて。もう一度開いた時には 瞳は冷静な色に変わっていた。静かに告げる。 「貴方がサーヴァントであるならば、ここで討つ。」 言って構えた少女に。 「まぁ待ちたまえ。ここで討つ、というがね。 こんなに狭い場所ではろくに動くことも出来まい。 それよりまずは、自身のマスターを確認するのが先ではないかな。」 男が返した言葉に、少女はぐ、と黙り込む。 正論だと感じたらしい。構えを解き、ひとつ息を吐く。 「…正直に言えば。このような乱暴な召喚は初めてです。」 困惑気味に少女は呟く。 「それには私も同感だ。まぁおそらくマスターは、そこにいる二人の どちらかだろう。」 男はそう言って、部屋に入ったままの状態で立ち尽くしていた俺と遠坂に 視線を移した。男の方はとっくに俺達の存在に気づいていたようだ。 少女の方は、はっとしてこちらに目を向けてくる。二人分の視線がこちらに向く。 遠坂が緊張するのがわかった。 少女は、じっと俺と遠坂を見て。遠坂は何かに気づいたように目を見張る。 3へ続く