俺はギルガメッシュの前に立つ。 ギルガメッシュは目を眇め。 「我に刃向かうか、雑種。」 最後通牒のように言ってきた。 俺は真っ直ぐにギルガメッシュを見据え。 「そんなの今更だ。俺はいつだって、気に食わないことには刃向かってきただろう。 それに。一度本気でお前と、やりあってみたかった。」 笑みさえ浮かべて言ってやる。手にはすでに投影した剣。 「…は、よく言った、士郎。 ならばせいぜい、我を愉しませてみせるが良い!」 ギルガメッシュがそう声高に告げる。 出し惜しみはしないつもりか、ギルガメッシュの背後の空間が歪む。 俺は湧き上がる高揚を抑えることはせずに、 ギルガメッシュに向かって、地を蹴った。 途中、さりげなくアーチャーの手助けが入ったりもしたが、 なんとか固有結界を創り上げて。 (どうやら、完全にエミヤシロウから離れたわけでは無いらしい) (精神構造は同じ、ということか) ギルガメッシュに俺の力を認めさせることができた。 その直後、ギルガメッシュ自身に孔が開き、 その孔に奴が引きずり込まれたり、 呆然としていたら、わずかに開いていた孔から鎖が伸びてきて、 俺の腕に絡まり、しぶとくギルガメッシュが顔を出したり。 相変わらずの王様発言で、そのまま止まれと無茶を言ったりして。 頭にきたから意地になって踏ん張っていると、 今まで傍観していたアーチャーが現れて、呑気に 『さて、どうするのかね、マスター』 とか言ってくるから。 俺とギルガメッシュが同時に、さっさと引き上げろと怒鳴ってみたり。 まぁ、ばたばたあって、なんとか孔からギルガメッシュを引きずり出すことが出来て。 これは早急に聖杯をどうにかするか、その前に。 とりあえずは次は綺礼だな、と満身創痍の身体を引きずりつつ、 境内の奥へ向かおうとしたら。 「帰ったら褒美をとらそう。喜べよ、雑種。」 などとギルガメッシュが言ってくるので。 なんだかもう、笑うしかないだろう。 俺は少し笑って、最期の決戦の地に向かった。 2へ続く