そう言った俺に、なんだお見通しかと楽しげに笑うランサー。 「いやぁ、坊主には悪いが、やっと遠慮なくぶっ倒せるわけだ。 ま、裏切り行為そのものは気にくわねぇんだがな。」 目に見えて喜んでいるランサー。当然か。 そもそもランサーは、死力を尽くした闘いを求めて召喚に応じたそうだが 実際は、綺礼に戦闘行為を封じられたような状態で。 初めて見える相手との闘いでは、必ず生きて帰らねばならず、 結果、途中で切り上げて逃げる、ということになる。 さぞかし面白くは無いだろう。 それでも、僅かな望みを抱き、一度アーチャーに対して喧嘩を売っていた。 二度目があるならその時は、何の枷も無い状態で闘えるように。 その望みは、確かに叶うだろう。 今の状況ならば、初めに立ち塞がるのは。 おそらくはアーチャーだろうから。 「まぁ、やるからには、しっかり足止めしてもらうぞ。」 俺がそう釘を刺すと。 「任せておけ。ま、坊主も頑張れよ。」 ランサーはそう言って、俺の背中をばんと叩く。 確かに今は、ランサーやアーチャーのことよりも 自分のことの方が問題だ。 アーチャーも、簡単にやられるような奴じゃないだろうし。 ……やられたら、腹の底から笑ってやる。 だから倒されるな そう思う自分の心に蓋をして。 俺達は、それぞれの思惑を胸に、夜を歩いた。 終わりです。ありがとうございました!