言峰士郎の聖杯戦争 2月12日 3





「で、何しにわざわざ俺達の前に出てきたんだ?」 俺がランサーに目的を訊くと。 「なに、手を貸してやってもいいって話をしにきてやったんだ。」 あっさりとランサーが答えた。 「…それは、マスターの意向?」 遠坂はもう頭を切り替えて交渉の姿勢。 こういう所は、流石だと思う。 ランサーも何か感じたようで、遠坂の方に身体を向け、話し出す。 「ああ、勿論。  キャスター陣営をこのまま放っておくのは流石にまずい。  向こうはサーヴァントが三体いるしな。  で、オマエ達は無謀だろうが何だろうが、仕掛けに行くつもりなんだろ?  なら、そんなオマエ達に、オレが、手を貸してやろうってそういう話だ。」 「?誰に手を貸すかっていうのは、あなたの意思なのね?」 「ああ。」 「なら、わたし達なんかよりも、もう一つの陣営の方が、  見込みがあるんじゃないかしら。」 「ああ?奴らにつく気はおきねぇな。どうも生理的にあわねぇ。」 「……ふぅん。人を見る目はあるのね…」 ランサーと遠坂は二人で話を進めていく。 俺の答えは決まっているから、あとは遠坂次第だと黙って待っていると。 「士郎。わたしは賛成よ。  力を貸してくれるっていうんなら願ったりじゃない。  わたし達、二人だけではどうにもならないことは、わかりきっているんだしね。」 遠坂は、そう即答した。 「…遠坂は、ランサーを信用できるのか?」 俺の問いかけには。 「そうね。今話してみて思ったんだけど。  休戦するって一度決めて、ちゃんと約束を交わしたなら、  その間は裏切ったりするタイプじゃないわね。  もちろん、その期間が終われば、容赦はしないでしょうけど。」 そうきっぱりと言う。 4へ続く