遠坂にサーヴァント召喚の儀式に立ち会わないかと誘われて。 遠坂は最優と謳われているセイバーの召喚を俺にみせてやると 随分、意気込んでいた。 正直、聖杯戦争そのものには全く興味は無かった。 勿論願いを叶えるという聖杯そのものにも。 願いというのは、そんなものに頼らず自分で叶えるものであるし。 遠坂の場合は聖杯戦争に勝つことが目的で、聖杯にかける願い というものは無いとのことだ。 そういう遠坂のあり方は俺にとって好ましく。 遠坂の応援はしたいと思っていた。 そんなわけで、聖杯戦争には興味は無いのだが。 英霊召喚という儀式、というものには興味があった。 だから俺は遠坂の誘いに乗ることにした。 英霊召喚は遠坂の家の地下で、深夜に行われた。 魔方陣の中心に立ち、詠唱を始める遠坂。 俺は邪魔にならないように少し離れた場所でその儀式を見守る。 実を言えば。 数日前からなんともいえない嫌な予感というものはしていた。 気にしないようにしていたが、 手の甲に走る焼けるような痛みだとか。 痣のようなものだとか。 綺礼がこれを見て、意味深な笑みをみせたことだとか。 だから、俺は英霊召喚に立ち会うべきではなかったのだ。 刻一刻と変化する大気。魔力の渦。 それらは唐突に終わりを告げた。 儀式が終了したようだ。かなりの手ごたえを感じたらしく、 遠坂がガッツポーズをとっている。 ―――が。 「…で、英霊はどこにいるんだ?」 よせばいいのに、俺はそうつっこんでいた。 地下には俺と遠坂がいる。それだけだ。 「え。ちょっと、どういうことよこれっ!」 一瞬呆然とした遠坂は我に返るとずかずかと俺に近づき。 俺の胸倉を掴んで叫んだ。 完全に八つ当たりだ。しかも顔が近いぞ、遠坂。 「…俺に言われても。わかるわけないだろう。」 「なんでそんなに冷静なのよアンタは!腹が立つったら」 ドオォン と、遠坂の言葉を遮り、爆音。 2へ続く