目の前で、泣きじゃくる陽介。 思えば、出会って言葉を交わして、すぐに俺は陽介の剥き出しの心に触れた。 だから、普段見せている姿とは違って、本当は物凄く繊細だということも知っている。 ……知った。 陽介は、俺にそんな一面を見せてくれるから。 ごめん、と泣きながら謝る陽介。 小西先輩に対してならともかく、俺に謝る必要なんて無い。 だから、謝るなと強く言えば、 俺を巻き込んでおいて、自分だけ逃げてたから…と、赤い目で見返してきて。 本当に、馬鹿だ。 向き合って、乗り越えなければならないと。 それに気付かせてくれたのは俺だと、そんな風に言ってもらえるのは嬉しいが、 俺は特別に何かしたわけじゃないのに、とも思う。 「…俺…涙腺、ぶっ壊れたみてー…」 ぽつりと呟いた言葉の通り、流れる涙を拭うこともせず、ただ拳を握りしめ、 立ち尽くして泣く陽介を目にして。 感情よりも先に、体が動いた。 近付いて、腕を回し、抱き寄せた。 表情は見えなくなったが、かわりに温もりを感じる。 陽介は、驚いたのか一瞬体を強張らせて、だが、すぐに俺に体を預けてきた。 肩に顔が押し付けられる。 ひとしきり愚痴を零しながらも、拒まなかった。 嗚咽。 暫くして陽介も、背中に腕を回してきて。 時間がゆっくり流れているように、感じた。 『泣く』という行為は、溜め込んだ感情を吐き出す為の手段のひとつだから。 俺の傍で思い切り泣けるのなら、泣けばいい。 あやすように背中を叩いてやると、まるで幼子みたいに縋りついてくる。 嬉しかった。 こうして陽介が感情をぶつける相手が、自分であることが。 『友情』なんて言葉だけで説明できない、複雑な感情が渦巻いていたが、 今は、目を閉じる。 泣き止むまで、ただ陽介を抱きしめた。 日が暮れて、ようやく落ち着いたのか、陽介が俺から体を離す。 拳で目元をぐいと拭って、へへ、と恥ずかしそうに笑った。 その顔は、目も鼻も赤くなっていて。 だが、吹っ切れたような笑顔に、俺も口元を緩めた。 「帰ろう。」 そう声をかけると、陽介は軽く頷いて、二人並んで歩き出す。 「…ありがとな、暁由。」 囁くような礼の言葉と、――名前。 いつも陽介は、俺を名字の方で呼ぶ。 名前で呼ばれたのが意外で、思わず顔を見返すと、 陽介は人差し指で自身の頬を軽く掻いて、やっぱ慣れねーな、などと呟いている。 だから俺も呼んでみた。 『花村』ではなく、『陽介』と。 顔を見合わせて、照れくささに俺たちは笑い合った。 この日のことを、俺はきっと、忘れない。 コミュ8のイベント。 あれは、『胸を貸す』ではなく、『抱きしめる』だ!! 『少しずつ受け入れればいい』と、『頭を撫でる』も、好きです。 コミュ9、MAXも好きです。 あー、可愛い。 でもMAXみて、まだプラトがいいねとちょっと書きなおした。 もやっとした何かを感じつつも、まだ友情です。