※注意 EDネタバレ フェスネタバレ 真田コミュネタバレ     真田×女主 薄暗いです。     OKどんとこいな人だけスクロール。 泣いたのは彼女の呼吸が自分の腕の中で止まり、抱いた身体が重みを増し、 体温が失われていく、その間だけだった。 皆のいる前で彼女の身体を掻き抱いて、泣いた。 それから暫くして、卒業式を脱走した問題児の対処の為に教師達がやってきて、 彼女と自分達は引き離された。 警察からの事情聴取や、死因の究明など。 数日が慌しく過ぎ、そして彼女との『お別れ会』というものを『仲間』とした。 その時には、既に自分は常と変わらない精神状態になっていた。 彼女を失っても、次の日は変わらず訪れる。 それだけのこと。 結局1日足らずで、俺は前を向いた。 最後の片付けの為、寮に向かう。 寮内の階段に足を向けると、上から岳羽が下りてくるところだった。 改めて話すことなど無い。黙ったまますれ違おうとすると、彼女から声をかけられる。 「強いんですね、真田先輩は。」 その声には、責めるような、咎めるような響きがあった。 答えず立ち去ろうとする俺を、さらに問い詰めてくる。 「あの子の……恋人だったんでしょ!?薄情ですよね、何も無かったみたいにっ!!!」 掴みかかろうとしてくる気配を察する。 まずいな、殴ってしまうかもしれない。そんなことを他人事のように考えていると、 「やめて、ゆかりちゃん!」という山岸の声が響いて、山岸が岳羽の身体をおさえていた。 ヒステリックに叫ぶ岳羽は、どこか憔悴していた。 山岸の目元は、腫れていた。 『彼女』が死んでから、まだそんなに日は経っていない。 彼女達の反応が『普通』なのだろう、きっと。 ただ、俺がそれを知らないだけで。 溜息を吐く。我ながら苛立たしく響いた。 「哀しめば、泣けば彼女が還ってくるのか?」 正論を突きつけてやる。岳羽の顔が怒りに染まる。 「そういう問題じゃないでしょ!!」 叫ぶ岳羽に、 「そういう問題だ!」 叫び返す。 もう止めてくださいと悲痛な山岸の声。 『彼女』の存在の大きさを噛み締めながら、俺は拳を握りしめて二人を振り切り立ち去った。 二人はその場に留まり、泣いているようだった。 「不器用な奴だな。」 騒ぎを聞きつけたのか、美鶴が歩み寄ってきた。 美鶴も片付けの為に来ていたらしい。 俺は答えない。答え、られない。 美鶴は哀しげな貌をしている。それは誰に向けての貌か。 死んだ『彼女』か、岳羽か。 それとも、俺か。 「…俺は、俺であることをやめられない。シンジの時に既に思い知っている。」 美鶴を見ずに呟くように言って、嘗ての戦友である彼女に背を向けた。 「……明彦は、誰よりも、哀しんでいるのにな……。」 耳に届いた美鶴の言葉。 哀しんで、いるのだろうか。 もう自分では解らない。 自分の部屋に入り鍵を閉めると、ドアに背を預けて座り込んだ。 天井を仰いで目を閉じる。 自分を形作る『何か』には、欠落がある。 欠落は埋まらない。 他のもので埋めた所で、それは歪になるだけだ。 その欠落――初めの1つは、妹を喪ったこと。 次に、双子の片割れに等しい存在だった友の死。 そして――――初めて愛した少女の死。 片付けて随分閑散とした自分の部屋。 ここに少女を呼んだことがあった。 はっきりと思い出せる。 笑った顔、ふくれた顔、怒った顔。 様々な表情の中で、やはり笑った顔が一番好きだった。 大事にすると言った。もっと惚れてくれと言った。 彼女はやわらかく笑ってくれた。 俺は大事に出来たのだろうか。 恋人としては半年にも満たない日々。 最後の二ヶ月は、最も大切な影時間の記憶が抜け落ちたまま過ごした。 生きてきた中で、本当に僅かな時間。 それでも俺は、彼女を本当に、愛した。 涙はもう出ない。 俺はこの先、この喪失を背負ったまま、生きていく。 欠けたまま、生きていく。 もう、特別な誰かをつくることは無いだろう。 もう―――――充分だ。 窓から射しこむ光は、今日も眩しかった。 荒垣の死にたった1日で立ち直る姿に、ああ、何か欠けてるなコイツ、と思ったのが始まりでした。 ゲーム内の真田とあまりぶれてないと思うんだがどうだろう。 これが10年後のTSに続くと思うと……(涙) 女主ですが、荒垣先輩はお亡くなりです。だって生きてたら最後の膝枕は荒垣先輩のものだ(え) あと、荒垣先輩が生きてたら、もうちょっとなんかマシなんじゃないかな、真田。 欠落人間な真田先輩が大好きです(真顔)