◆ヤマ主でもヤマヒビでも外デートする時ヤマトが自分の容姿が悪目立ちすること自覚してるから術を施してて、 一定値以下の霊力の持ち主にはヤマトの姿がその人物が普通と感じる姿に映る、とか。 多分ウサミミ響希くんの霊力基準値で。これなら普通の喫茶店とかにも入れるよ!というネタ ●ヤマ主の場合 「じゃあ他の人にはヤマトが黒髪だったり茶髪に見えるってこと?」 「おそらくは」 「どんな風に見えるのか俺も見てみたいなー」 「そうか…だが君を欺くような真似はしたくないのだがな」 軽い気持ちで告げた言葉に思ったよりも重い答えが返ってきて言葉に詰まる。誤魔化すようにストローで珈琲を啜った。 ●ヤマヒビの場合 そんな手間をかけてまで俺に付き合ってくれているんだ。 ぎゅっと胸が締め付けられる。普通の喫茶店で普通の友人(とは言えないかもしれないけど) のようにお茶を飲んで会話を交わして。大和とこんな時間を過ごせることが凄く嬉しい。 「…何だ?」 「なんでもないよ」 自然と笑みが浮かぶのを許してほしい。 ◆貴方は梨雪のヤマ主で『境界線の引き方』をお題にして140文字SSを書いてください。 いつの頃からか俺はヤマトが用意したジプスのコートを着るようになった。 堅苦しい制服を身に着けることで俺とヤマトの間に不思議な境界線が敷かれる。 『仕事』に私情は挟まない。意見がぶつかることも増えたが、それは互いに納得して。 制服を脱げばベッドに直行だったりするのは変わらないけれど。 ◆ヤマ主 彼の指先が私の唇に触れる。なぞり、悪戯に押す。 「…何だ」 「べつに。ちょっと触りたくなっただけ」 散々触れているだろうと言えば、自分からはあまり触ってないと拗ねたような顔を見せる。 そして今度は両手で私の頬を包む。ゆっくりと撫でられるそれが擽ったい。 目を細め顔を横へ向けて掌に口づけた。 ◆ヤマ主(七夕) 「織女星と牽牛星の伝説か。フン、職務怠慢故の自業自得だな」 実にヤマトらしい台詞に俺は思わず笑った。 今日は七夕、有名な物語を諳んじた俺への返答が先程のそれだった。 「遊んでないで仕事しろって事なんだろうな」 休憩終わり、とヤマトに背を向けた俺を呼び止める声。 「30分程度ならば構わん」 「ヤマト、もし織姫と彦星みたいに年に1回しか会えなくなったらどうする?」 「私から離れるつもりか」 「怖い顔するなよ、もしって言っただろ」 「…そうだな。お前がどこへ行こうと必ず連れ戻し二度と離れぬよう私の傍に繋ぎ止める」 「…答えになってないような」 まぁいいかと落ちてくる唇を受け入れた ◆『ほんの少しの、嫉妬』ヤマ主 ソファーに寝そべりながら携帯を弄っていると、 「最近ミヤコとよく出かけているようだな」 そんなヤマトの声が耳に届いた。 俺は数度瞬き、起き上がって確認する。 ヤマトは執務机で書類に目を落としていた。 「…ダイチとイオも大抵一緒だけど」 記憶を遡ってみたが、ミヤコと2人で出かけたことはなかったので、 そう答えた俺にヤマトはそうかと言ったきり黙り込む。 さて、と俺は顎に手を当てて目を閉じ考える。 ヤマトの真意が何なのか。 ミヤコとも出かけるが、ヤマトとも勿論出かけている。 違いがあるとすればミヤコと出かける時は数人でだが、 ヤマトと出かける時は俺と2人きりのことが多い。 ヤマトもみんなと遊びにいきたいのか、一瞬そう思ったものの 違和感が付きまとい頭を振る。 ……まいった、全く思い当たらない。 大きく息を吐き出して立ち上がる。分からない時は直接聞くにかぎる。 ヤマトの元へ歩いていき真横に立つ。 俺の方を見向きもしないヤマトを暫し黙って見つめていると、 溜息の後、観念してこちらを向いた。 眉間に皺を寄せ、何度か逡巡するように唇を震わせた後、言葉を発する。 「…ミヤコと出かけた時のことを話すお前は、私と話すよりも楽しそうだ」 ミヤコもお前のことを良く話す、と忌々し気に呟き、また黙り込む。 これはもしかして、もしかすると、そうなんだろうか。 その可能性に思い当たって、俺は思わずふき出してしまった。 「何が可笑しい」 「だ、だって…っ、ふ、くく……っ」 今までなら、気に食わなければ真っ直ぐに伝えてきていたヤマトに、 どんな心境の変化があったのかは分からない。 相手がヤマトの双子の、女の子、だからだろうか。 俺はすっかりへそを曲げてしまったヤマトのネクタイを掴んで引き寄せて、 噛み付くように唇を重ねた。何度か食んでから離れて、 「俺は、もうお前を選んだよ、ヤマト」 そう言って笑ってやる。 友達付き合いは大事だし、ヤマトだけと生きることは無理だけど、 ヤマトと一緒にいる時は身体も心も全部ヤマトのものだ。 はっきり告げてから、座っているヤマトに乗り上げた。 首に手を回してもう一度キスすれば、腰にヤマトの手が回ってくる。 「………下らんことを言った、忘れろ」 「忘れないって言ったら?」 「フン、では忘れさせてやろう」 ようやくいつもの調子を取り戻したヤマトが首筋に齧りついてくる。 ん、と喉を鳴らしながら、俺は求めてくる男を力いっぱい抱きしめた。 ◆監禁【失敗】(ヤマ主) ガチャン、という派手な音と、ドアが開く音は同時だった。 「………やはり、この程度では君を繋ぎ止めることは不可能か」 感心半分、呆れ半分。 ドアを潜り、見慣れた黒いコートの男がそう呟く。 目が覚めたらばんざいの形でベッドヘッドに手錠で繋がれていたので、 色々考える前に力任せに引きちぎった俺は何も悪くない。 パラメータ【力】40を舐めるな。 「まったく、可愛げのない奴だ」 眉を寄せ睨んでも気にすることなく近づき、擦れて傷ついた俺の手をとってそこへ口付ける。 「繋がれたまま大人しく待ってるのを期待したのか?甘いなヤマト」 不敵に笑いながら目の前の男にそう告げれば、 「では次はもっと趣向を凝らそう」 俺の手首に唇をあてながらヤマトも笑う。 本気でヤマトがそれを望むなら、繋がれるのも悪くないんだけどな。 ――という本音は飲み込んで、壊れた手錠を手首にぶら下げたまま、 両手をヤマトの首に回して物騒な言葉ごと自分の唇でその口を塞いだ。 ◆貴方は梨雪のヤマ主で『ありふれた日常の中の幸せ』をお題にして140文字SSを書いてください ●ウサミミ メールしたり、外で待ち合わせて出かけたり。 悪魔の存在はあれど平和な日々。 ヤマトが権力者達にいいように使われることもない。 今日は少し遠出して紅葉狩り。 休み、よくとれたなと聞けば、ミヤコがいるからなと穏やかな顔でヤマトが微笑う。 辺りに人の気配無し、俺は自然にヤマトと手を繋ぎ指を絡めた。 ●ヤマト 手を繋ぎ美しく色づいた木々の様を眺めながら歩く。 彼は私の手を取る、一度目の時は叶わず二度目にそれは叶った。 だが、私の手を取らない結末も十分にあり得た。 事と場合によって彼は私と同じく殉ずることが出来る男だと。 だからこそ今、彼の手の温もりがこんなにも愛おしく失いたくないと願うのだ。 ◆初恋の日ヤマ主 実力ED 10月30日は初恋の日らしい。 島崎藤村が初恋の詩を発表したとかなんとか。 暇つぶしに携帯を弄っていたらそんな情報が目に入ってきた。 初恋か、自分はどうだったかと振り返ってみる。 そして頭を抱えた。 どうした、と低いテーブルを挟んで正面に座るヤマトが問いかけてくる。 書類から顔を上げ俺を見つめるヤマトと視線が合わさった。 ぶわっと一気に顔が熱くなった。 「な、んでもな」 「ほう…私に隠し事か」 はぐらかそうとしたものの、失敗。声に不機嫌が滲み出てるぞ局長。 まぁ別に、今更隠すようなことでもないけど、自覚すると恥ずかしいものだ。 普通はこう、もっと初々しいものだろう、初恋というのは。 ドキドキして、相手に近付きたくて、傍にいたいと望む。 過去を振り返った結果、俺の初恋の相手は――――。 「―――お前が、俺の初めての相手なんだ」 「何…?」 「だから、初恋の相手」 初めてヤマトに会ったあの時、心臓の音が煩かったのは、 悪魔とかそんな非現実的な事態に対する高揚だけじゃなく、 路傍の石を見るようなヤマトの視線にわけもわからず惹かれたからでもあって。 何度か言葉を交わすようになってからは、 もっとヤマトの事を知りたいと、近付きたいと思って。 そしてヤマトに求められることが嬉しくて、傍にいたくてここまで来た。 「…初恋、か」 ヤマトが呟き、フ、と笑う。 「どうせくだらないとか思ってるんだろ」 「当然だ、とはもはや言えんな」 思っていたのとは違う返答に俺はぱちぱちと瞬いた。 口角を上げて目を細めるその顔は嬉しそうに見える。 「慕情を抱く事など無いと思っていたが…私の初恋は勿論、お前だ。 お前の初恋も私だというならば、これほど喜ばしいことはない」 言い終わったヤマトはテーブルに片手をついて、もう片方の腕を伸ばす。 その手は俺の胸倉を掴んで、力任せに引っ張られた。 反応する間もなく唇が重なる。別に初めてでもないそのキスはいつもよりも甘く感じた。 「……それじゃ、これが最後の恋になるといいな」 どんな終わりが待っているのかわからないけど、行けるところまで一緒に。 そんな想いを込めて俺からも口付ける。 そうだな、と八重歯を覗かせてヤマトはもう一度、微笑った。 ◆HappyHalloween!(ヤマ主) トリックオアトリック 「ヤマトー!とりっく おあ とりーと!!」 もっと他に無かったのか。 そんな感想を抱いたヤマトは自分も毒されたものだと嘆息した。 改めて、ハロウィンの決まり文句を口にした闖入者を観察する。 首から足首まで青いマントに包まれ、マントの隙間から覗いた手にはランプ。 頭部は鍔の広い三角帽子を被ったカボチャに間の抜けた顔が描かれており、 目の部分だけくりぬかれている。 正に悪魔にもいるジャックランタン。 前回の耳と尻尾を付けた狼男とやらの方が目の保養になったなと思い返しながらも、 ヤマトは彼の為に用意していた菓子の入ったバスケットを手に取った。 「持っていけ」 そうして彼に差し出すと、ジャックランタンの動きが止まり、 暫くすると不服気な唸り声が耳に届く。 「…前は興味ないって何も用意してなかったくせに」 「なんだ、悪戯よりも菓子が目的だと前回私に言っただろう、不満なのか」 「前回は前回、今回は違うんだよ!」 理不尽な彼の言い分に眉を寄せながらも、今回はtrickに力を入れてきたのだろうと察し、 ヤマトは差し出したバスケットを再びしまって、 「分かった、菓子はやらん」 そういってソファーに座り、足と腕を組み、彼の次の行動を待つことにした。 ヤマトの行動は正解だったようで、軽い足取りで彼が近付いてくる。 ヤマトの目前で立ち止まり、まずは手に持っていたランプをテーブルに置いた。 次いでどこに持っていたのか大きな袋をマントから取り出す。 どうやらここにくるまでに貰った菓子がつまっているようだ。 そしてカボチャ頭に両手をかけて上へと引き抜くと、 見慣れた黒い癖毛と、特徴的な耳が目に飛び込んでくる。 自身の耳を特殊メイクか何かで獣の耳にしているようだ。 「では、とくとご覧あれ〜」 芝居がかった台詞の後にマントを床に落とし、彼の全身が露わになる。 首元には大き目の鈴。胸元だけを隠すぴったりとしたタンクトップ。 ショートパンツ、それから長い尻尾。 「…………ネコマタ、か」 「正解〜!下どうしようか悩んだけど」 何が可笑しいのか笑みを浮かべながら、彼は座るヤマトの膝に乗り上げてきた。 ここまでくれば、彼の意図していることはなんとなく理解できる。 「フ……悪くない」 ヤマトの顔も自然と綻び、素直な感想が零れた。 見下ろしてくる彼の顔が迫り、吐息が耳を擽る、濡れた感触の後、刺すような痛みが走る。 「――っ」 声を殺したヤマトに彼が喉を鳴らし、今度は項を齧られた。 「まだまだ悪戯するから、覚悟しろよ」 「それは……楽しみだ」 彼の行動はヤマトを飽きさせることは無い。 今しばらくは彼の悪戯とやらを甘んじて受けることにする。 彼が満足した後は自分の番だとヤマトはひっそり笑みを浮かべた。 Happy Halloween !! ◆欲求(ヤマ主) 甘い。 実際に甘いわけじゃないと思うけど。 重ねていた唇を少しだけ離して、舌を出してゆっくりとヤマトの唇をなぞる。 お互いの吐息が混ざり合って不思議な感じだ。 下唇、上唇、順に優しく食んで、僅かに開いた唇に誘われるように舌を挿し入れる。 熱い内部を味わうように舌を這わせていく。 上顎を擽ると下にあるヤマトの身体が僅かに跳ねた。 楽しくなってきて、歯をなぞったり、舌の裏側を舐めたり、 溢れるどちらのものか分からない唾液を掻き混ぜて飲んだり。 夢中で唇を貪りながら殆ど無意識に下肢をヤマトの身体に擦りつけた。 自分のものはとっくに昂ぶっていて、ヤマトも少しだけ兆していて、 自分だけが気持ちいいわけじゃないことにほっとする。 ちゅ、と音を立てて唇を吸った後、完全にヤマトに伸し掛かっていた体勢から、 身体を浮かせて肘と膝を着いた体勢になって真下のヤマトの顔を見下ろした。 唾液でベタベタになったヤマトの口まわりを手のひらで拭ってこめかみに口付ける。 「満足したか?」 「んー……半分くらい」 ヤマトの問いかけにそう答えると、溜息を吐かれた。 「いつもは好きにやらせてるんだから、たまにはいいだろ」 「寝ているだけ、というのは性に合わん」 「だって、お前に触られたら余裕無くなるし…」 ヤマトが俺の身体に触れたいように、俺もヤマトに触れたい。 どこが気持ちいいかとか、そういうことを知りたい。 ヤマトに動かれてしまうと、その手練にあっという間に前後不覚になるので、 こんな風に動くなと念押しでもしないかぎりなかなか機会が無いのだ。 まぁ、でも。あまり我慢させるのも良くないなとは思う。後が怖いという意味でも。 最後にとヤマトの喉仏に顔を寄せて軽く唇を押し付けた後、強く吸い付いた。 白い肌にくっきりと赤い印がついたのを確認して目を細めた。 ヤマトの手を引きながら上体を起こす。 「じゃあ、いつも通りどうぞ」 両手を広げて誘いかけると、ヤマトの口角が上がって、 待っていたと言わんばかりに唇を奪われた。 服の裾からヤマトの手が潜り込んできて、素肌を弄られればあっという間にスイッチが入る。 こうなってしまえば俺に出来る事は与えられる快楽に悶えながら、 ヤマトの髪を掻き混ぜたり、背中を引っ掻くくらいで。 もっと色々したかったんだけどな。 そのうちまた強請ってみよう、そう決めて、俺は目を閉じた。 ◆11月6日(ヤマヒビ)始まりの日曜日 「今日、何の日か分かる?ヤマト」 ベッドサイドに腰掛け身繕いをしていた大和は、その問いかけに視線を下方へ向けた。 先程まで交わっていた相手――響希は、掛け布団に包まっている為、黒い癖毛しか見えない。 大和は手を伸ばし、その柔らかな髪に指先で触れながら答える。 「……心当たりは無いな」 大和の返答は予想されていたのか、響希は機嫌を損ねるでもなくただ小さく笑った。 ヒビキ、と話の続きを促すように大和が呼ぶと、 身体をこちらへと向け、布団を少しだけずらし響希が顔を見せた。 「今日は、あの災厄の始まりの日でもあり、世界が回帰して丁度1年目、だよ」 君とこんな関係になるなんて思ってもみなかった。 響希は目を細めてそんな感想を口にした。 成程、言われてみればと大和は、そうかと相槌を打つ。 「初めて出会った時から俺、君のことが苦手だった」 「ほう」 「ヤマトはどこまでも正論しか言わないから… 君が言ってることは正しいんだって分かっていても、頷きたくなかったんだ」 「そうだな、お前には手を焼いた」 「そういう上から目線も嫌だったよ」 1年前のあの日々に抱いていた想いを吐露する響希を大和はただ静かに受け止めた。 ひとしきり話した響希は、でも、と言葉を一度区切り、髪を梳く大和の手に頬をすり寄せる。 「望んでた『友達』とは違う関係になったけど、こうして君の傍にいることができて嬉しい。 ヤマトも可愛いところがあるんだって、分かったしね」 台詞の一部に聞き捨てならないものがあることに、大和は眉を寄せた。 「誰が可愛い、だと?」 大和は再び響希に覆い被さり、顔を間近まで寄せ囁く。 「そうやってすぐ向きになるところが」 響希は不機嫌になった大和にも怯まずそう言うと、両腕を大和の首に回して軽く口付けた。 「………フ、随分と変わったものだ」 「お互いさまだ」 興が乗って、大和からも響希へと口付け、深いものへと変えながら再びその身体を暴くため、 掛け布団を剥いで素肌へと手を這わせる。 響希は受け入れるようにゆっくりと息を吐いた。 ◆ヤマ主 「昨日アルパカに会ったんだけど、鳴きながら擦り寄ってきて和んだんだ」 この感じ何かに似てるなって思ったんだけど、そう言いながら彼は私の膝を枕にし腹に顔を寄せる。 「まさかその獣と私が似ているとでも」 ヤマト正解と笑う彼に対し複雑な想いを込めて私は彼の耳をひっぱった。 ◆11/22いい夫婦の日(ヤマ主) もう結婚しちゃえば〜。気だるげに口にしたフミにマコトは何てことを言うんだと慌てオトメはあらあらと微笑む。 可能ならばしているとヤマト、別に財産に興味ないし今充分満足してると並び立つ男が答え、同感だとヤマトも頷く。 結婚という概念はこの2人には不要とジプス3人娘は顔を合わせ笑った。 ◆いい風呂の日 ヤマ主でバスタイム 「…二人で入るとやっぱり狭いな」 「だからこちらに来いと…」 「なんか当たりそうで、やだ」 「………」 ヤマトと二人向かい合わせになって湯に浸かる。 膝が触れ合うのはこの際仕方がない。 なんとか納まりの良い体勢になって、ゆっくりと息を吐いた。 疲れた身体に湯の熱さが染み渡る。 ちらりとヤマトを窺うと、まだ不機嫌そうに眉を寄せていた。 ヤマトが提案したのは、俺がヤマトの胸に背中を預けて座る形で、 確かにそれなら脚も伸ばせそうだが、 密着しているとまた火が点きそうだったので却下したのだ。 別にヤマトだけに限らず俺自身も。 触れてしまうと際限なく欲しくなってしまうので、それがここ最近の悩みだったりもする。 「贅沢な悩みだよなー」 思わず口に出してしまった。何がだ、と間髪を容れずにヤマトが聞いてくる。 今、変に誤魔化すと良くないことになりそうで、どう答えたものかと悩んだ末に、 「ヤマトのことが好きすぎて」 何度目かもう分からない告白をして笑ってみた。 ヤマトは不可解だ、というような顔をしている。 しっかり伝えないと面倒くさいことになりそうだったので、 俺は手っ取り早く手を伸ばしてヤマトの膝に触れた。 「こうして、ちょっと触るだけで、もっとって思うんだよ」 「欲しがればいい。何を悩む?」 ヤマトは軽く首を傾げ、同じように俺の膝に手を伸ばし、ゆるりと撫ぜた。 ぞく、と熱い痺れが走る。ああ、本当に困るな、まったく。 誤魔化すように狭い浴槽の中で体勢を変えた。 背を向けてヤマトにもたれかかる。ぱしゃんと湯が弾けた。 受け止めたヤマトはすぐに両腕を俺の腹に回す。 「フ……気のせいでなければ先程拒絶された筈だが?」 「気が変わったんだよ」 ヤマトの吐息が耳朶を擽る。何度かリップ音も。 それ以上の接触は無く、俺は完全に全身をヤマトに委ねた。 目を閉じて、湯とヤマトの熱を感じる。 「あー……寝そう」 うとうとし始めた俺の耳に、上機嫌なヤマトの含み笑いが届いた。 ◆新年明けました(ヤマ主、回帰) 正月三が日は色々と忙しいとヤマトから聞いていたし、あえて連絡をとらなかった。 一応元旦にメールで挨拶はしてみたけど、それだけだ。 その日の夜に、簡素な返答メールが俺の携帯に届いた。 それきりヤマトからの連絡は無い。 「三が日も終わりかー」 大晦日にダイチ、イオと一緒に出掛けてカウントダウンと初詣。 家族や親戚との団らん、正月番組を見たり。 そうして過ごす間、俺は何とも言えない物足りなさを感じていた。 理由は分かっている。 「いい加減、連絡ぐらいしてこいよなー」 鳴らない携帯電話を握りしめ、ベッドにごろごろと転がった。 枕に顔を埋め、唸る。 こちらから連絡すればいいんだろう、でも、 大体先に連絡するのは俺からだという事実が少し悔しくもあって。 「……いっそ、今から突撃してみるか……」 この時間ならジプスの自室か、ああ、でも本局は大阪だから東京にはいないかもしれない。 京都の実家に帰っているという可能性もあるのか。 はぁ、と大きく溜息を吐いた瞬間、手にした携帯から着信音が響いた。 急いで確認すると画面に表示されていたのは待ち望んでいた相手のもので。 「もしもし、ヤマト…!?」 受話ボタンを押し込み、耳にあてて叫ぶように名を呼んだ。 『ああ。今から出てこれるか?』 「え」 『お前の家の前まで来ている』 ほぼ一週間ぶりのヤマトの声に浸る余裕もない。 とんでもないサプライズに俺は携帯を耳にあてたまま自室から出て階段を駆け下りた。 親から何か声を掛けられたようだったが、適当に応えながら靴を履いて玄関を飛び出した。 「―――っ、ヤマト」 本当に、いた。 凄い勢いで現れた俺に驚いたのか目を瞠っている。 そして携帯をコートのポケットにしまってから近付いてくるヤマトに、俺は辛抱たまらず飛びついた。 まるで分かっていたとでもいうように、しっかりと俺の身体を抱きとめたヤマトが憎らしい。 「あけましておめでとうヤマト会いたかった!」 一息に言って、ヤマトの首筋に鼻先を擦りつけた。 「……あけまして、おめでとう。全く…風邪をひいても知らんぞ」 苦笑まじりの声の後、ヤマトが俺の身体を少し離してコートのボタンを外していく。 何をするのかと見守っていると、ヤマトはコートの前を開いて俺の身体を再び抱き込んだ。 そこで我に返って顔が赤くなるのを感じて俺はヤマトの胸元に顔を押し付ける。 「フ……機嫌が直ったようだな」 「別に、怒ってたわけじゃないけど」 「そうか」 「仕事とか、落ち着いたのか?」 「ああ。明日の午後から予定が入っているが、それまでは」 顔を上げてヤマトを見つめる。ヤマトは目を細めて俺を見返した。 俺の為に時間をつくってくれたのだと、自惚れてもいいだろうか。 「…用意してくるから、ちょっと待ってて」 そう言って家へ戻ろうとした俺の腰を引き寄せて、ヤマトが顔を寄せてきた。 何をされるのか分かって、俺は、目を閉じた。 「ん、む」 ヤマトの唇は冷たくて、吐息はあたたかかった。 軽く重ねただけで離れていく唇を自分から追って、ちゅ、と啄む。 「…今年も、よろしくな、ヤマト」 決まり文句を告げて笑った俺に、ヤマトも笑う。 「ああ…今年も、この先も、だ」 ◆ヤマ主 吐息も言葉も自分の唇で奪った。 間近で見つめるその顔は狐につままれたなんとやら、 悪戯が成功し上機嫌に離れようとした俺を目の前の男は許さなかった。 後頭部に回された手が俺を引き寄せ深く唇を男のもので塞がれる。 逃げられると思ったか、口内で囁かれ、負けず嫌いめと男の銀の髪に俺も指を絡めた ◆ヤマ主 手を取られて、何をするのかと見つめていると、ヤマトは人差し指と親指で俺の小指を挟んで、 根元から指先までをゆっくりと撫でていく。小指が終われば薬指、中指、人差し指、親指。 性的なものを感じて、怖気のようなものが走る。 俺の名を静かに呼んだヤマトの口から覗いた赤い舌がいやに艶めかしく感じた。 ◆ヤマ主 雨に濡れたヤマトの項から目が離せなくなった。張り付いた後ろ髪が色っぽい。 男相手に色っぽいとかどうなんだと心中で突っ込んでいるとヤマトと視線があった。 ヤマトの視線に熱を感じるのは気のせいだろうか。 名を呼ぼうとした俺を制するようにその手が伸びてきて俺の濡れた前髪をゆっくりとかき上げてくる。 「随分、濡れたな」 「…お互いさまだろ」 分かり切ったことを口にしたヤマトに俺も軽く返答する。 その言葉にはきっと何の意味も含まれてはいない、ただ、それが引き金になった。 元々近かった距離を詰めたのはどちらだったのか。 ヤマトの手は俺の後頭部へ回り、俺もヤマトの首に手を回す。 顔を傾けて深く重ねた唇は少し冷たかった。 熱を与えるように薄く開いた唇に舌を挿し入れれば、ヤマトが応えるように絡めてくる。 フ、と笑む気配に閉じていた目を開けて至近距離でヤマトを見つめると、 「いや、お前も私と同じように感じていたのだな」 物凄く上機嫌にそんなことを言う。 成程、俺が濡れたヤマトに色気を感じたように、ヤマトも俺の姿にそう感じていたらしい。 俺に色気があるかどうかは謎だが、ヤマトがそう言うならそうなんだろう。 同じ気持ちを抱くというのは悪くない。 「ヤマトには負けるけど?」 そう言って小さく首を傾げて唇の端を上げれば、ヤマトの目が細められる。 私だけが知っていればそれでいい、などと囁いてくるヤマトの声は甘くて、 聞いていられなくなって俺はその唇をもう一度自分から塞いでやった。 ◆ヤマ主(トリアン大団円後) 突然の深夜の来客。現れた男にベッドへと押し倒されマウントをとられて。一体何が起こっているのか。 「……あー…ヤマト?」 部屋に押し入ってから無言を貫く男の名を呼ぶと眉間に深い皺が刻まれた。 「…お前は、」 やっと口を開いたかと思えば途中で再び口を閉じ、そのまま抱きついてきた。重い。 ヤマトの吐息が耳を擽ってぞわと膚が粟立つ。私だけなのか、そんな言葉が落とされた。 共に在りたいと望むのは私だけなのかと。 「…だから、大学卒業したら行くって言ってるだろ。それぐらい待ってろよ」 そこから先は俺の人生全部お前に捧げるんだから。駄々をこねる男に笑いながら もう何度目になるか分からない囁きを落として、俺も抱き返す。 ヤマトは今まで何でも力で動かしてきた男だ。 本気になれば一般人の俺なんて簡単に手のひらで転がせるだろう。 それをせず俺を待ってくれているのをちゃんと理解してる。 身体を起こしたヤマトを追ってその唇を軽く啄んだ ◆ヤマ主(R18) は、と吐いた息は白い。マフラーに顔を埋めて歩く。 寒いからか、早く会いたいからか、いつもよりも早足で、青信号が点滅しそうな時は走る。 それでも赤信号に立ち止まり軽く呼吸を整えながら見慣れた道路をなんとはなしに眺めると、 アスファルトのひび割れた所で小さな花も寒そうに揺れていた。 ここに来るまでは寒かったのに今は暑いくらいだ。 ぱた、と汗がこめかみから男の胸に落ちる。 腹に両手を着いて腰を揺らす。自分を貫く男の熱はすっかり馴染んだ。 「こんなに、さむいのに、花が咲いていたんだ」 そういう事に興味がなさそうな男に告げて笑えば、目を細めてそうかと銀の男は微笑んだ。 ◆ヤマ主への3つの恋のお題(R18) すきにして、いいよ。/もっと愛して、奥まで愛して/どうしたら俺のものになる? どうしたらヤマトは俺のものになるんだろう。 「ぅあ…っっ、や、ヤマト……っ」 身体の奥深くまで貫かれる、その衝撃を堪える為にヤマトに腕を伸ばす。 抱き付けば更に繋がりは深くなって大きく息を吐いた。 「は……っ、動くぞ」 「ん、いいよ…すきにして、いい……っあ、あっ!」 熱く脈打つヤマトのものが俺のなかをまんべんなく擦りあげる。 抜く時はゆっくりで。奥が閉じきる前に勢いよく突き上げられて。 「あ、はぁっ、もっと…っ、おくまで…っ」 ヤマトの背に爪を立てて、精一杯誘いをかける。 「ほう…奥が、感じるのか…っ」 「んっ、っァ、ぁあ…っ」 奥深く、掻き混ぜるようなヤマトの動きに、目の前に星が散った。 きゅうと自分を侵す熱塊を締め上げる。 「っ、ふ…、そう、締めるな」 そんなにイイか、そう耳元で囁かれて、俺は素直に上下に頭を振った。 低く、機嫌がよさそうにヤマトが喉奥で笑う。 少なくとも、この時間だけはヤマトは俺のものだ。 だからもっと、奥まで愛して。 その声は声にならなかったけど、伝わっただろうか。 ◆十五夜 月とうさぎ(ヤマ主)多分ブレコの新世界後。(R18) 十五夜にはうさぎが出てくる、それはある逸話が元になっているらしい。 狐と猿とうさぎが一緒に暮らしていると、 そこへ空腹で死にかけた爺さんが来て、食べ物を恵んで欲しいと言ってきた。 狐と猿は食料を捕まえて用意できたがうさぎには無理だった。 だからそのうさぎは火の中に飛び込み、自らの命を捧げた。 爺さんは哀しみ、うさぎの清らかな魂を誰しも見ることができるよう、月の中に写す。 その爺さんは帝釈天という神様でした、という話だ。 そのうさぎが何故、そんな真似をしたのか。 きっと分かっていたんだろう、その爺さんが身を捧げるに値する者だということに。 うさぎの耳を模したお気に入りのパーカーを素肌の上から羽織って窓際に近づく。 空を見上げると綺麗な月が見えた。 後ろから腹に手が回されて引き寄せられる。 先程まで散々この手に啼かされた、ヤマトの手だ。 項に口づけられて僅かに身じろぐ。 「ヤマト、月、綺麗だよ」 「月見がしたいのか」 「お月見もいいけど団子も食べたい。そろそろ十五夜だろ?」 「ああ、そうだな」 言葉を交わす合間にもヤマトは俺の髪や耳に口付けを落としてくる。 「……月にうさぎ、か」 ぽつりとヤマトが呟いた。 ヤマトの口からそんな言葉が出るとは思わず俺は数度瞬く。 先程自分も考えていた事。ヤマトは何を思うのか。 振り向くとヤマトは俺のパーカーの耳飾りを手に取り弄っていた。 暫くそうした後、俺の身体を反転させて強く抱きしめてくる。 肩口にヤマトの顔が埋められて、吐息が膚を擽る。 「ヤマト」 「…私は、お前を喰らうつもりはない」 ヤマトの言葉に思い至ることがあり、俺は苦く笑う。 かつての戦いの日々、俺は何度か身を挺してヤマトを守った。 どうやらそのことをヤマトは根に持っているらしい。 別の意味では喰われてるけど、とは今は言わないでおく。 「うん、共に生きるよ」 ヤマトの為に身を投げ出さないとは言えないが、 共に生きたいというのも本心だ。 俺もヤマトの背に腕を回してしっかりとその身体を抱きしめる。 ふっとヤマトの身体から力が抜けた。 それに油断した瞬間、俺の身体は再びヤマトに組み敷かれる。 「…喰わないんじゃないの?」 「フ…お前が私を喰らっているのだろう、ここで」 「――っぅ」 ヤマトの指が俺のぬかるんだ後孔を侵し、ぐに、と拡げられる。 どろりと奥へ注がれていたヤマトの精が零れだして鳥肌が立った。 まぁ確かに、俺がヤマトを食べてるとも言えるんだろうけど。 「…っ、もう、いっかい…?」 「ああ、もう一度だ」 目を細めて笑うヤマトに、かなわないなと俺は息を吐く。 お前が望むなら、望むままに食べてやるよ。 ◆ヤマ主(R18) ● 性急に貫いた後孔は血が滲んでいる、快楽など殆ど得てはいないはずだ。 だが彼は恨み言1つ零さず私を抱き寄せた。軽く後頭部を叩かれる、あやすように。 「落ち着いた?」 私に問い掛ける声は柔らかい。キツく唇を噛み締める。そう甘やかしてくれるな…! ● 「も…っ、いい、からっ、ヤマト…!」 なりふり構わず自分で後ろを広げて目の前の男を誘う。 確かに痛みはあるがそれ以上に奥が疼いて仕方がない。いつものように突いて欲しい。 動かない相手の名前をもう一度呼ぶ。 「…お前、は」 迷うヤマトにじれて。 「いれて、ヤマト」 ● 紅く熟れた胸の尖りを何度も弄る。時に優しく時に強く。 自らのシャツを銜え必死に声を殺す姿に嗜虐心が擽られる。 濡れて普段よりも輝く青い瞳も、紅潮した頬も、全てが物語っている、彼が胸で快楽を得ているということを。 ぐ、と爪を立てると甘い声がついに零れた ● 甘く誘う声も、腰に回される脚も、全てに煽られる。 彼の背に手を回し奥深くを突き上げると悦ぶように彼の内部が私のものを食いしめてきた。 「――っ」 思わず動きを止めると小さく笑う気配。 「ヤマトも、気持ちイイ…?」 耳元で囁く声には首筋を噛むことで返答した ● 「…暑い、な」 ぽたりとヤマトの汗が俺の裸の胸に落ちる。 「っ、だから、嫌だって言ったのに…!」 触れ合う肌が熱くて文句を溜め息と共に吐き出す。 内のヤマトの熱が更に俺の体温を上げていく。 「では抜くか?」 その気もないくせに。 「もういいから…後で一緒に水風呂入ろ」 ● 「――っ!」 「あ、縮こまった」 「……何を口にした」 「かき氷…ごめんなさい反省してます、なので手はなしてください痛い痛い」 俺の頭を鷲掴んだヤマトの手から力が抜けてほっとする。 頭蓋骨にヒビが入るかと思った。 まだ口内は冷えたままなのでお詫びに手と唇で奉仕しました