◆ヤマヒビ(R18) 大和とするのは嫌じゃない。 調べたら男同士でも気持ちよくなることが出来るって知って、 それならきっと悪いのは自分の方だから。 「っ、ぁ、」 前を触れば少しは痛みも紛れるから、大和にはしたないと思われても、 俺は自らの手で自身を刺激して声をあげる。 どうか大和が躊躇いませんようにと祈りながら。 貫かれ、揺さぶられて。気を失ってしまいそうなぐらい本当は辛くて。 「ぅあ、あぁっ、あっ…っんぅ…っっ」 喘ぐ口を大和の唇に塞がれる。 ―――ああ、そうか。俺の声なんて、聞きたくないよね。 小さく胸が疼いたけれど気付かないふりをして目を閉じる。 どくりと自分の内の大和の熱が大きくなる。 こんな俺の身体でも、大和が気持ちよくなってくれている事が救いだった。 響希は嘘を吐くことも誤魔化すことも上手くは無い。 後ろで快楽を得ていないことは明らかだ、だが拒絶はしない。 被虐趣味ということでもないだろう。 『…私の為、か』 自身を熱く包む響希の内部に目を細め、 暴かれることを恐れ声を上げるその唇を己のもので塞いだ。 偽らずともいいと、直に伝える事が出来るならば。 だが響希はそれを望んではいない。 私に知られまいと、知られる事を恐れ、隠すことに必死だ。 そんな響希を哀れと感じる一方で、本心を告げないことへの苛立ちもある。 ―――ああ、だが。 響希を抱く事で得られる快楽を手放すことは、もう出来ない。 自嘲しながら、私は今夜も響希の身体を侵していく。 ◆ヤマヒビ(R18)上の続き このままじゃ駄目だと思って。 何が悪いのか、何が足りないのか。 俺が求めているものは何なのか考えて。 そうして辿り着いた答えが――――。 「ヤマト、その…」 ポリネシアンセックスって、知ってる? 恥ずかしさに小声になってしまったけれど、大和にはちゃんと伝わったようだ。 大和は眉を寄せ、何だそれはと問い返してくる。 その返答は予測済みだったので、俺は自分の携帯を差し出した。 画面には検索結果が表示されている。 携帯を受け取った大和が画面に目を落とす。 暫くして顔を上げた大和の表情は、いつもよりも少しだけ柔らかいものに見えた。 「お前は私と情交を結ぶ事にあまり乗り気ではないと思っていたが…」 大和の指摘に心臓が跳ねる。 「…そんなこと、ないよ」 なんとかそれだけ言って、大和からの返答を待った。 「……半日、ならば時間を作ろう」 後日連絡する、そう口にして大和は俺の頬を軽く撫でる。 一笑に付されても仕方がないと覚悟していたので、 知らず安堵の溜息を吐いてしまった。 当日。 約束通り大和はその日の夕方から翌日の昼まで、予定を空けてくれた。 食事は控える事と書いてあったので、俺は朝に軽く食べたきりだったけど、 緊張しているせいか空腹は感じていなかった。 ジプスの大和の私室、シャワーをお互いに浴びてからベッドに向かう。 羽織っていたバスローブを落として全てを晒し合う。 考えてみると、こうして裸で抱き合うのは初めてかもしれない。 ベッドに寝そべって身体を重ねる。触れ合う肌はしっとりとしていて熱い。 気持ちがいい。自然と大和に擦り寄って目を閉じた。 「…悪くない」 大和の声が耳元を擽る。ほっとして俺も頷いた。 暫くの間そうして体温を感じ合って。 大和の手が躊躇いがちに動くのに合わせて、俺も大和の身体にぎこちなく触れた。 顔、身体、あちこちに唇が、手が触れて。真似るように俺も大和に唇を落とす。 まるでじゃれ合いの延長みたいで少し楽しい。時折感じる場所に触れられて身体が跳ねて。 大和も俺の愛撫に熱い息を吐いて堪えるように眉を寄せる、その表情が色っぽくて。 俺の身体はゆっくりと解けていった。そうして――。 「――ぁ、あぁ…っ」 時間をかけて、大和が俺のなかへ挿入ってくる。いつも感じていた痛みは不思議と無かった。 ただ圧迫感と熱だけを感じた。 根元まで埋められた後、大和は動かず俺の身体を抱きしめた。 脈打つ大和の熱を身体の奥深くで感じる。 俺も大和の背に手を回して縋りついた。 俺が大きく息を吐き出したのを合図に、大和が動き出す。 ほんの少し揺らされるだけで身体全体に痺れが走る。 ぞくん、ぞくんと甘い刺激に声を我慢することは出来なかった。 「…っ、フフ、堪えた甲斐が、あったな…っく、」 「んァ、ぁあっ、やま、と…」 「いつもよりも、感じているようだ…」 「ゃ、いわな、で…っ」 動いて、止まって。また動いて。 もうイきたいと強請ってやっと許してもらえた。 吐精して全身から力が抜ける。大和も俺の奥深くで達して、 繋がったまま抱きしめ合う。 「そうか、お前が求めていたのはこれだったのだな」 「ん…なに…?」 「いや、此方の話だ」 「ふ……ぅぁ…」 大和が何を言ったのか良く聞こえなかった。 伝える気は無かったのかもしれない、それならそれでいい。 快楽の余韻に浸りながら俺は目を閉じた。 この日、俺はやっと、抱かれることの悦びを知った。 ◆ヤマヒビ(R18) 目が覚めてしまった。 『…キス、されてる……』 優しく唇を吸われる、その感触はすっかり馴染んでしまったもので。 気配で相手が大和であることは分かる。 分かるからこそ、今瞼を開けるのは恥ずかしいような気がして、 バレているかもしれないけど、まだ寝ているふりをすることに決めた。 大和の唇は頬や耳元を擽り、首筋へと下りていく。 ちゅ、とリップ音を響かせて、軽く押し付けられて。 身体の奥がじわりと熱くなってきて、まずいと思った時、 大和の手が俺の中心へと衣服越しに触れて、慌てて起き上がった。 「ああ、起こしてしまったか」 「や、ヤマト…っ、これは、朝だから仕方ないんだ…っ」 すっかり勃ちあがっていることに大和は気付いただろう。 慌ててそんな言い訳をした俺に、 「本当に性的興奮や自意識とは関係が無いと?」 全てお見通しと言わんばかり、意地悪気な笑みを浮かべた大和が再度触れてくる。 息を呑みながらも俺は目の前の男を睨んだ。 全部分かっているなら黙っていてほしい。 肌に触れる大和の唇が心地よくて、こんな状態になってしまったなんて、言えるわけないだろ! 触れてしまえば快楽に慣れた身体は意地を張る心とは裏腹に素直だ。 下衣を剥ぎ取り向かい合わせに座り、震える彼の熱を片手で掴む。 数度扱いてやるだけで呆気なく私の手を濡らした。 「っふぁ、あ…」 響希は忙しなく呼吸しながら、甘えるように私の肩へと額を押し付けてくる。 彼の痴態を目にし自らも昂ぶっている。 さてどうするかと思案していると彼が身体を起こし私を見つめてから口をおずおずと開いた。 「…大和も、だよね」 躊躇いがちに手を伸ばし私のスラックスの前立てをくつろげる。 興味深く観察していると、下穿きから私のものを取り出した響希がそこへ顔を近付けた。 ふ、と熱い吐息がかかる。小さく出した舌で舐めはじめる。 刺激としては弱い、だが酷く高揚する。 「…ヒビキ」 名を呼べば、喉を鳴らし、ゆっくりと私の性器を銜えこんだ。心地好い粘膜に包まれる。 拙い舌使い、苦しげな表情、それらに興奮する。 「―――っ」 多少の時間を経て、彼の口内で吐精した。 「んっ」 響希の喉が何度か動く。顔を上げ、口を閉じ、もう一度嚥下した。 白く汚れた唇を親指の腹で拭ってやる。 「……おはよう、ヤマト」 ぽつりと呟いたのは朝の挨拶。 そういえば交わしていなかったかと同じように返せば、響希は恥ずかしげな笑みを見せた。 ◆ヤマ主(R18) 「ん…ヤマト、もっとゆっくり、しよ?」 壁に押し付け唇を奪い、今は首筋を舐め食んでいた私の後頭部を撫で、彼がそんなことを言う。 気が急く私を宥めるような、主導権を握りたがるような彼の言葉を封じる為にその唇を再び塞いだ。 私を年下扱いする彼が憎らしくも愛しい。たかが1つ、だがその年の差は埋まることは無い。 では年下らしく、年上のお前に甘えてみようか。それもまた一興だ、今宵はどんな顔を見せてくれる? 耳元に顔を寄せ囁く。 「私は早く、繋がりたい」 両手を彼の背中へと回し、衣服越しにその背と、そして臀部を撫でた。 息を呑む気配に喉奥で笑い、耳朶を舐る。駄目か?とあえて彼の機嫌を窺うように問えば、 「…仕方ないな」 あくまでも私が望んだことだと言わんばかりの声音で了承を告げてきた。 さて、いつまでその余裕が続くか見物だ。 壁に手を着かせ下衣を下着ごと足元に落とし、前には触れず手早く後孔を解した。 三本の指を銜えこめるようになった所で引き抜き、自身の前立てを寛げる。 数度扱き充分な硬度になった所で片手で添えながら、片手は彼の尻たぶを掴み入口を広げる。 「っ、ふ…っ」 彼の恐れるような声には気付かぬふりをし、そこへ押し付けた後、一息に熱い内部へねじ込んだ。 「――――っっ、ぃ、た」 「っ、は…っ、痛むか…?」 充血した縁を親指でなぞると、びくりと彼の身体が跳ねる。 目に見える範囲では切れてはいない、身体を倒し項に口づけ動くぞと告げ、返答を聞く前に腰を揺らした。 彼の弱い部分は知り尽くしている。そこを重点的に責めれば耐えられないというように壁に必死に縋りつく。 「ごめんなさ…ぁ…っ」 快楽に呑まれ許しを請うその姿に溜飲が下がった。 「どうして欲しい…?」 そう救いの手を差し伸べてやると顔を振り向かせ、彼の唇が戦慄く。 「もう、イきた、い」 前も触ってと強請り、その直後、彼を貫く私の性器を締め付けてきた。 「いやらしいな」 揶揄するように言えば、涙に滲んだ目で睨んでくる。 そのような表情、私を煽るだけだと知っているのか。 小さく笑いながら、先程から雫を零す彼の性器に触れてやった。 「もう、イきた、い」 前も触ってほしいと強請る。 見上げた大和は凄く色っぽい顔で。僅かに上気した頬、流れる汗。 俺の中で気持ちよくなってるんだ、そう思えば嬉しくてきゅうと大和の昂ぶりを喰いしめた。 「いやらしいな」 言われなくても分かってるよそんなこと…! 恨みがましく背後の男を睨み付ければ、笑顔が返ってくる。 どうやら機嫌は直ったらしい。 「ふぁ…っ、んっ、やまと…っ」 欲しかった刺激を漸くもらえて声を上げる。 ヤマトは俺の前を扱きながら内部を突き上げてきた。 すぐに目の前が真っ白に染まって俺は精を吐き出す。 「っや、ぁ、まだっ、でて、るっ――!!」 「――はっ、私は、まだ、だ…っ」 「ぅああ、あっぁあ、ア」 「――――く、っっ」 出している間も容赦なく揺さぶられて、何度目かに漸く動きが止まって、 身体の奥に熱いものがじわりと広がる。 俺も再度吐き出して、ずるずるとへたり込みそうになった身体をヤマトが支えてくれた。 はぁっと大きく息を吐く。 達した筈のヤマトの熱はまだ張り詰めたまま、俺の内でどくどくと脈打っているのが分かる。 「…フフ、お前もまだ、足りないようだな」 嬉しそうな低音が俺の耳を擽って、再び勃ちあがっている俺の中心を指先でなぞってきて。 意地を張ったって仕方ない、満足していないのはお互い様だ。 身体を捻って、ヤマトと目を合わせて、笑みを浮かべて告げる。 「…続きは、ベッドで」 ◆ヤマ主ヤマヒビお題色々 ●梨雪宅のヤマ主へのお題は『この瞬間の君が好き』です。 「隙あり…!」 書類と睨めっこ中のヤマトの唇を奪う。しっかりと重ね合わせてから素早く離れる。 目を僅かに見開いた後、数度瞬いてヤマトはふっと吐息を吐いた。 この瞬間のヤマトが好きだ。俺にだけ見せる許容。 「君にはかなわないな」 書類をテーブルに置き立ち上がるヤマトに俺はしてやったりと笑った。 ●>告白の日 「ヤマト、俺、お前の事好きみたいなんだけど」 決死の覚悟で告げた俺をヤマトは何を今更と笑う。 「私に共に生きようなどと言っておいて?」 「べ、別にそういう意味で言ったわけじゃ、なかった…んだけど…ほら、友情とかで!」 「友情だろうと愛情だろうと同じ情だろう」 私もお前が好きだと返された。 ●貴方は梨雪のヤマ主で『どうせ無意識なんだろ』をお題にして140文字SSを書いてください。 背中側に人の体温を感じて目覚める。腹に回された腕が逃がさないと無言で訴えている。 『どうせ無意識なんだろうけど』 ヤマトは俺の力を疑いはしないが感情面では違うらしい。 何がヤマトを不安にさせているのか俺には分からない。 何もかも許してるのはお前だけなのに馬鹿だな。 ●貴方はかきたいと思わなくても『電話をするかどうかで悩んでいるヤマ主』をかいてみましょう。 幸せにしてあげてください 俺は電話で話すことが苦手だ。ヤマトとの電話は大体受ける形で。 別にヤマトは何も言わない、なんとなくたまには自分からかけてみてもいいかと思っただけで。 発信ボタンを押すだけの状態で数分、意を決して押して耳に当てる。 コール2回で繋がって嬉しそうな声が耳を擽った ●ヤマ主で「夜、来てほしい」とかどうでしょう。 「ヤマト、夜、来てほしいんだけど」 「それは構わんが……寝るなよ」 「うっ、…………起きてる」 「あやしいものだな」 誘っておきながら爆睡してしまったことがあるだけに約束できず、俺は小さく唸るだけ。 まぁヤマトはヤマトで寝ている俺に色々やってくれたのでチャラだろう。 ●【ヤマ主語り】好物の食べ物を2人で分けて食べ、最後に1口残った時の2人について語りましょう。 2人でつまんでいたタコ焼きは残り1つ。 ヤマトの表情を窺えば難しい顔でタコ焼きを凝視していて思わず噴きだした。 「いいよ、ヤマトどうぞ」 「…ではいただこう」 素直に口に運び咀嚼し、飲み込んで口元をハンカチで拭ったヤマトの手が伸びてきて、 眺めていた俺の口元を拭っていった。 ●ネクタイをゆるめた状態で大好きな人と添い寝しているヤマ主を妄想してみよう 「ヤマト」 おいでとベッドから手招く。 「何だ?相手なら後で…」 と言いながらも素直に寄ってきたヤマトの手を引いて隣に引きずり込んだ。 ネクタイを緩めて靴を脱がす。 「何をする」 「添い寝するって言ってるんだよ」 どれだけ酷い顔をしてるか気付いていないヤマトと共に問答無用で布団を被った。 ●シャツの前をはだけた状態で動けなくなっているヤマヒビを妄想してみよう。 「どうした、完全に手が止まっているぞ」 大和にからかうように言われてハッとする。 大和のシャツのボタンを三つほど外した所で固まってしまった。 正直、こんなにもじっくりと大和の裸の胸板を見るのは初めてで。 自分とは違いしっかりと鍛えられていて。ばくばくと心臓がうるさくてぎゅっと目を閉じた。 ●○分以内に○RTされたら、ベッドの中で、抵抗を押し切って手を繋ごうとするヤマ主をかきましょう。 「今日はやけに抵抗するな」 俺の手首をベッドに縫い付けているヤマトの手を外そうと必死に動かす。 相変わらずの馬鹿力。 「いいから…っ、離せって!」 覆い被さるヤマトを睨むと溜息と共に片手だけ解放された。 離れていくヤマトの手を咄嗟に掴む。 「何がしたい」 「だからこうして」 繋ぎたかったんだよ。