ヤマトと身体の関係を持つようになってから早数ヶ月。 一線を越えてしまってからはすっかり抵抗感は消えた。 悩んでいた時間が無駄だったと思えるほどに。 既に行為の回数は両手の指では足りないほど。 若さゆえだと思いたい。ヤマトとの行為は正直、物凄く気持ち良い。 ヤマトが巧いのか、俺が感じやすいのか。 俺達は相性がよかったんだろう、色々な意味で。 忙しい日々の中、仕事を疎かにする事もなく、 俺達はお互いを求め合った。精神的にも、肉体的にも。 ぎしり、と二人分の体重で僅かに軋むベッド。 始まりは大抵キスから。 俺から口付けることもあるし、その逆もある。 今日はヤマトからのキスで始まった。 ベッドに押し倒されて、深く口内を貪られる。 入り込んでくるヤマトの舌に応えるように俺も舌を絡ませる。 唾液が掻き混ぜられる音は、じわりと俺の身体の熱を上げていく。 「ん……、ふ、ぁ……ぅ」 「…っ、ふ」 お互いの口から吐息のような音が零れ落ちる。 ヤマトは俺の唇を食みながら、両手で俺の髪に、顔に、首筋に触れて、 「……んっ!」 その手は俺の胸で留まって、衣服越しにゆるりと撫でる。 円を描くように何度か動いた後、胸の先端を擦られ、すぐにそこは硬く勃ち上がった。 硬くなったそこを人差し指と親指で摘まれて、強弱をつけながら弄られる。 「っ、ぁ…ふ、ゃだ…っ」 胸への愛撫は苦手だった。感じない、というわけではないが、 なんというか、じれったいというのが正直な感想で。 ずっと弄られていると多少は下肢も疼いてくるが、決定打にはならない。 何度かヤマトにもそれを伝えた。にもかかわらずヤマトは熱心に俺の胸に触ってくる。 キスは続行中、言葉を封じられた俺は訴えるようにヤマトの肩を押す。 ヤマトはそんな俺に構わず両手を俺の胸の上で蠢かせる。 「――――っっ!!」 かり、と衣服の上から胸の尖りを引っ掻かれて、びくりと身体が小さく跳ねた。 「っぁ、やま、と…っ!」 顔を背けて抗議するように相手の名を呼べば、ふ、と愉しげにヤマトが笑う。 「どうした、ユキト」 「どうした、じゃないっ、も、胸は、いいから…っ」 必死に訴える間も、ヤマトの手は俺の胸を弄る。 徐に衣服を捲り上げられて、肌に直に空気が触れる。 「っ、」 真っ赤になった胸の先端が視界に飛び込んできて、思わず息を呑んだ。 気付きたくはなかったが、ヤマトに弄られ続けたせいだろう、 昔よりも俺のそこは色づいた部分が大きくなっている。 ヤマトが目を細めて俺の胸を見て、躊躇いなく今度は直接触れてきた。 冷やりとしたヤマトの手の感触に震える俺を宥めるように、唇も降りてくる。 ちゅ、ちゅ、と小さな音を響かせながら、俺の肌の上に赤い痕が散らされていく。 「…っ、や、まと」 胸元に顔を埋めるヤマトの後頭部に両手を回して、引き剥がそうと指に力を込めた瞬間、 「――ぃ…っ」 堪らない痛痒感に襲われて動きが止まった。右の赤い尖りがヤマトの歯に挟まれている。 何度か甘噛みされた後、舌を絡めながらきつく吸われる。 ヤマトの口内の温かさと唾液のぬめりが、今までとはまた違った刺激になって腰が震えた。 左はヤマトの人差し指と中指の間に挟まれて、きゅ、と強く摘まれて。 「も、や、だって、言って…!!」 ヤマトの髪を掴んで軽く引っ張って訴えれば、ヤマトが俺の尖りを口に含んだまま、 「何故だ?ここも君の、性感帯だろう?」 不思議そうに言って、べろりと舐め上げてくる。 そしてヤマトは俺の脚の間に膝を入れて、ぐ、と押し上げてきた。 「っっ!!」 俺の中心はすっかり張り詰めていて。直接受けた刺激にぞくぞくと甘い痺れが全身を駆け巡る。 いつもなら、そのまま直接触ってくれる。それが今日は違った。 それ以上触れようとしないヤマトに焦れて、視線を合わせて、俺は後悔した。 俺との行為の最中にヤマトが時折見せる貌。新たな発見に目を輝かせるような、 子供が新しい玩具に夢中になるような、猫が鼠をいたぶるような―――。 「ここへの刺激だけで、ドライオーガズムに達することが出来るらしいな」 ヤマトがそんなことを囁きながら指先で俺の胸の先端を撫ぜて、 「頃合いだ、今日はこちらの刺激だけで達してみろ」 とんでもないことを、宣言した。 「は、あ、あっ、はぁっ、も、や…!!」 俺の胸に顔を埋めたままのヤマトの後頭部の髪を、両手でぐしゃぐしゃに掻き混ぜながら喘ぐ。 どれだけの時間が経ったかなんて分からない。 ヤマトはただひたすら、俺の胸ばかりを責めてくる。 痛いぐらいの刺激の後の、優しい刺激が一番堪らなかった。 じんじんと胸が疼く。その熱は確実に俺の中心を昂ぶらせていて。 衣服を脱ぎ捨てたい。そして直接そこに触れたい。擦りたい。出したい。 だがそれは叶わない。脚の間に陣取ったヤマトの身体が邪魔をする。 「腰が揺れているぞ、ユキト」 「っん、ぅ…っ」 舐っていた赤い尖りから顔を上げて俺を咎めたヤマトは、 今度は逆側に吸い付きながら、先ほどまでヤマトの口内で弄ばれて唾液塗れになった胸の先端を、 親指で押し潰し、爪で引っ掻いて、かと思えば緩く人差し指で擽られる。 「っ、―――っぁ、ひぅ…っっ」 ヤマトの舌が、唇が、指が動くたびに、ぞくぞくする。 「っ、も、む…りぃ、っ」 胸への刺激だけで達せる筈が無い。そう思うのに、俺の身体は少しずつ上りつめていく。 あと、少し。直接触れば簡単にイけるのに。 胸から生じた熱が身体を駆け巡って下腹部に溜まる感覚。その熱がどんどんと膨れ上がっていく。 「あ、あ…っ、あぁ…―――――っっ!!!」 一際強く胸の先を吸われて、同時にもう片方をきつく押し潰されて。 その瞬間、自分の中の何かが弾ける。声なき声を上げて身体がびくんと大きく一度跳ねた。 視界が真っ白に染まって、弛緩した後、かたかたと震えが止まらなくなる。 かちかちと歯が鳴って、瞬きするたびに涙が溢れる。 ずっと達し続けているような感覚に近い。 いつもとは決定的に違うこと、それが解って怖くなる。 「ぅあ…」 ずるりと自分の下衣が脚から抜き取られるのを感じて、ゆっくりと視線を動かした。 俺から剥ぎ取ったズボンと下着をベッドから落としたヤマトの満足気な貌が滲んで見えた。 ヤマトの手で脚を開かれて、俺の中心の熱が露わになる。 それは張り詰めて先走りを溢れさせていたが、達した形跡は無かった。 「…上手くいったようだな」 まるで労うような声、ヤマトの手のひらが俺の脚を優しく撫でる。違う、そこじゃない。 今の俺は1つのことしか頭に無かった。ただそれだけを求めて震える手を伸ばす。 邪魔されること無く俺の手は、自分の中心で切なく震える昂りに届いた。 両手で握りこめば熱い溜息が零れた。今までの間接的な刺激でない、直接伝わる刺激にほっとする。 ヤマトに見られていることは多分頭のどこかで理解していたが、どうでもよくなっていて、 俺はゆっくりと手を動かして懸命に擦り上げた。 「んっ…は、はっ、あ、あ…っっ!!」 何度か擦るだけで良かった。ぼたりと俺の腹に白濁が散る。 馴染んだ快楽に漸く気持ちが落ち着いてくると、現実を思い出して、 このまま布団を被って現実逃避したくなった。勿論、相手がそれを許してくれる筈も無く。 自身を握ったままの俺の手の上にヤマトが片手を重ねてくる。 「愉しんだか?」 そう言いながら俺の顔の横に腕を着いて覗き込んでくるヤマトは意地悪げな笑みを浮かべていた。 返す言葉が出てこない。最後の意地でヤマトの顔を睨みつけていると、 俺の機嫌をとるような優しいキスが落ちてくる。 何度も何度も落とされる口付けに、俺の強張った表情は崩されて、溜息と共に受け入れるように口を開いた。 握りこんでいた自身から手を放せば、重ねられていたヤマトの手は俺の腰に回される。 ヤマトとキスを交わしながら、俺はまだ乱れの無いヤマトのズボンに手を伸ばした。 前を開けば下着越しに張り詰めたヤマト自身が露わになる。 俺を弄ってるだけでこんなになるんだな、などと感心とちょっとした悦びを胸に秘めつつ、 下着をずりさげてヤマトの熱を窮屈なそこから解放する。 ちゅ、と軽く俺の唇を吸った後、ヤマトが身体を起こした。 ヤマトは俺を俯せに転がすと四つん這いになるよう促してくる。 「ヤマト…?」 「そのまま、脚を閉じろ」 てっきりこれから後ろを慣らすのだと思っていた俺は、ヤマトの言葉にぱちりと瞬いた。 言われた通りに脚を閉じるとヤマトが俺の腰を掴んでくる。 まさかそのまま突っ込まれるんじゃ、という俺の不安は次の瞬間、驚愕によって塗り潰された。 「―――っ!」 ぬるりと太腿の間に何かが捻じ込まれて、後ろから自分の中心が押し上げられる。 「は……っ、ぁ、あ」 ヤマトとのキスで再び緩く勃っていた中心への刺激に小さく喘ぎながら顔を後ろへと向けると、 眉をよせて熱い息を吐くヤマトの表情と、太腿の間から覗くヤマトの昂りが視界に入ってきた。 これは所謂、素股、というものだろうか。 熱に浮かされながらも、そんな単語が脳裏に浮かんで、消えた。 「あっ、は……、はぁっ…、ぁ、あ…っ」 「はっ――、っ、ふ…っ」 ヤマトが腰を動かすたびに、自分の熱も擦り上げられて、その刺激に喘ぐことしか出来なくなる。 ヤマトの荒い息遣いが耳に届いて、もっと悦くなるようにと必死に閉じた太腿に力を込めた。 「…っう、や、まと…っ、も、でる……っ」 「っ、ああ…、私も…っ」 限界を告げるとヤマトが一際強く腰を打ち付けてきて、 重なり合った互いの熱を両手で握りこみ、先端を親指の腹で圧迫した。 「――――あぁあっっ!!!!」 「―――っ、く」 瞬間、目の前が真っ白になって、俺はヤマトの手の中に吐精した。 ヤマトも息を詰めた後、そのまま俺の身体の上に圧し掛かってくる。 握りこまれたお互いの中心はどちらも軟らかくなっていた。 下敷きにされたままは流石に苦しくなって、そこから抜け出そうとすると、 ヤマトが俺を背後から抱き締めたまま、横向きに寝そべる形にしてくれた。 まだ頭はぼんやりとしている。耳の裏側に濡れた感触、ちゅ、とリップ音が響いて息を呑む。 「……今日は、もう、終わり?」 これが事後の戯れだと気付いて、純粋な疑問をぶつけてみる。 時と場合によって最後までせずに眠りにつくこともあるので、別に可笑しなことでもなかったが。 「そのつもりだが、物足りないか?」 小さく笑いながらヤマトが俺の腹を撫でてくる。 くすぐったくて身体を捩りながら、別に、と答えた俺の声は、 ヤマトの言葉を肯定しているかのように響いてしまって頬が熱くなる。 それだけ後ろを使う行為に慣らされてしまったんだから仕方が無いじゃないかと、 誰にともなく心の中で言い訳をする。 ヤマトは俺の頭頂部に口付けを落として、 「ドライオーガズムによって普段よりも体力を消耗しているように感じた。 これ以上無理をさせては仕事に支障が出そうだったからな」 俺の知りたかった理由を告げてきた。 流石ヤマト、俺の身体と仕事の心配をしてくれた結果らしい。 確かにあの後、普通に身体を繋げていたら明日、既にもう今日になっているが、 1日使いものにならなかったかもしれない。 だが、そんな心配をしてくれるなら、そもそもこんな無茶するなとも思うが。 ドライオーガズムの体験を思い返して、その記憶に俺はぶるりと身体を震わせた。 初体験、というわけではないと思う。既にそれらしい経験はこれまでに何度かあったが、 それは先に吐き出した後のことで、今回の体験は今までで一番きつかった。 「……暫く胸、触るの禁止」 正直な気持ちがぽろっと口から零れ出た。 「そんなに悦かったのか?」 「違…わないかもしれないけど違う。弄られすぎてひりひりするし!」 「傷つけぬように注意はしたが、痛むか」 「痛いってわけじゃな…って、だから、触るなって…っ」 「分かった、そう怒るな」 からかっているのか心配しているのか判らないような態度のヤマトを振り返って睨みつける。 ヤマトは軽く俺の胸に触れた後、再び腹に腕を回して、俺の髪に鼻先を埋めて笑った。 楽しげなヤマトに毒気を抜かれて、俺も強張っていた身体の力を抜いて目を閉じる。 「風呂は良いのか」 「起きてから、入る」 「そうか」 そのまま寝入ろうとする俺の後ろで衣擦れの音がした。 多分ヤマトは前を寛げただけだったので、それを整えたんだろうなと思いながら、 俺の意識は少しずつ沈んでいく。 強く抱き締められたのを最後に感じて、俺の意識は完全に落ちた。 行為の回数は両手の指では足りないほど。 そしてどこで情報を手に入れてくるのか、様々な方法で俺の身体に快楽を刻みつけてくるヤマト。 その内、アレな玩具まで使われそうで怖い。 そう思いつつ、どこかで少し期待している自分には苦笑いするしかない。 ヤマトと過ごす日々は、心身充実している、結局はそういうことなんだろう。 END ERO BINGO、ドライ・乳首開発・自慰・素股クリアってことで。 えろ、難しいね!