その青い眼を美しいと感じたのは何時だったのか。 普段の少し眠たげな眼。 会話の最中に見せる、聡明な眼。 悪魔との戦闘時に周りの人間に指示を出し、自らも躍り出る時の熱を孕んだ眼。 そのどれもが喩えようもなく美しいと感じる。 だが、今一番美しいと感じるのは、彼と交わる時に見せる、涙に滲んだ眼なのかもしれない。 ゆっくりと彼の内に沈めた自身を前後に揺らすと、甘い喘ぎが耳を擽る。 「ユキト」 彼の名を囁けば、応えるように狭い内部がきゅうと絡みついてくる。 両脚を肩に担ぎ上げて身体を倒し、限界まで奥に押し込めば、 「ぅ、っあぁ……っ」 堪らない、というような声が彼の唇から零れ落ちた。 「ユキト、眼を」 火照った頬を撫でて促すと、閉じていた瞼が震え、開かれる。 現れた青、涙に滲んだその青が揺れる。 ああ、甘そうだ。舐めてみたい。乾いた唇を無意識に舌で湿らす。 「……やま、と?」 ぱち、と瞬きした彼の眦から、大粒の涙が滑り落ちる。 目を舐める替わりにその涙を唇で吸う。その涙は甘く感じた。 熱に浮かされた彼に柔らかく笑いかけてから、腰を掴んで再び埋めた自身で彼の身体を愛し始める。 強く突き上げて、時折動きを緩めて奥で円を描くように。 ぎりぎりまで抜いてから、一息に奥へ。 動きを変えながら彼に快楽を与え、自分も快楽を得る。 「あ、あぁっ、ん、や、やま、とっ」 途切れ途切れに名前を呼んで縋りついて来る彼に愛しさは増す。 首に腕を回させて、限界まで昂ぶった彼の中心の熱に指を絡めれば、ふるりと切なげに震える。 強く彼自身を擦り上げて、彼の内部を穿つ動きも速める。 「―――――っ!!」 「っ、く―――っ」 びくりと身体を跳ねさせ、声にならない声を上げた後、弛緩した彼の身体がベッドに沈む。 ほぼ同時に自分も熱い内部に引き絞られて、薄いゴムの中に吐精した。 彼の中心に絡めた手は白濁に塗れている。その手を持ち上げて舌を出し、少量を舐め取った。 「…君は、何処も彼処も甘いな」 率直に感想を告げると、彼は顔を真っ赤に染めて手に取った枕で容赦なく殴りつけてきた。 片腕を上げてガードして、見下ろした彼の眼は羞恥に滲んでいて、これもまた悪くないと思った。 名残惜しく感じながらも根元を押さえて彼の内部から自身を引き抜く。 ん、と抜いた時の刺激に身悶えた彼には見ない振りをして手早くゴムを外し、口を縛って処理する。 そうして彼の隣に身体を横たえて、呼吸が整ってきたその身体を腕の中に抱き寄せた。 抵抗せずに擦り寄ってくる熱い身体を抱き締める。 「…さっき、俺の目、熱心に見てたけど、何?」 腕の中で彼が思い出したように見上げて問いかけてきた。 あのような状態であっても発揮するその洞察力に、やはり自分の見込んだ男だと再認識しながら、 「君のことは全てが好ましいが、私を見るその眼に一番心が惹かれる、そう感じたのだ」 そう言って、彼の眦を親指の腹で撫でた。 擽ったそうに彼は笑い、 「俺も、ヤマトの眼が好きだよ」 囁くように言って、唇を触れ合わせてくる。 お互いに暫く目を閉じず、軽く重ねるだけの口付けを繰り返し、 どちらからともなく瞼を伏せて、舌を絡め取る深い口付けへと変えていった。 満ち足りるまで口付けを交わし、胸元を軽く両手で押されて唇を離す。 瞼を開けば互いの唇を銀糸が繋いでいて、ぷつりと切れたそれに目を細めた。 彼の青い眼が再び自分を映す。 彼の眼は暗闇の中の一筋の光のようでもあった。 主人公の黒髪に青い眼っていいよね、と思いつつ。