カイドー・ナオヤルート・万魔の主2



■池袋(衛国寺) 着いたぞ、ここが衛国寺だ。 >そうだ …それは冗談のつもりか?★ >違う その通りだ。★衛国寺の本尊は如意輪観音だ。 おそらく、欠けたジコクテンの穴を補うために、四天王が他の存在の力を借りているのだろう。 >確かに不安だ >特に気にしない では、行こうか。 ビシャモンテンは東京の北を守護する四天王最強の存在だ。油断はするなよ。 …いたぞ、ビシャモンテンだ。 >オマエこそ! >ひれ伏します 暑苦しい奴だ、大人しく死ね…。 ビシャモンテン:クッ…見事…。 何という強さよ…、人間、ほめてつかわすぞ…! フン…思い上がりもはなはだしいな。俺に勝てるとでも思ったのか? フフ、ゆっくり迷うといい。だが…世界は確実に変わる、取り残されぬように気をつけるんだな…。 魔界と人間界を隔てる力が、弱まったのだ…。始まったな、魔界化が。 >残りの2体も早く倒そう >…… …南だ。千岳寺に、ゾウチョウテンがいる。 だが…多少、気がかりな事もある。コウモクテンの気配がどこにもないのだ。 充分に注意した方が良さそうだぞ。 ■品川(千岳寺) …妙な気配がする。一哉、気をつけろ。奴らが何か企んでいるかもしれん。 フン…下らん問答だ。いずれにせよ、お前は死ぬ。素直に魔界化の礎となれ…。 妙な空気が漂っているかと思えば、コウモクテンが隠れていたか。まるでドブネズミだな…。 クックック…礼を言おう。探す手間が省けたぞ! フ…2匹そろっても、二流は二流。俺にかなうとでも思ったのか…? フフフ…慌てるな、すぐに魔界がやって来る。 >どこに来る? >どのくらい待つ? 見ろ…。すでに接合点は現れ始めた。 …その通りだ。ヒルズの最上階は、元々サーバーがあった場所。 サーバーと融合を果たしたバ・ベルが現れるとすれば、その場所をおいて他にはない。 まさしく、召喚するのにおあつらえ向きな場所という事だ。 >すぐ向かおう …充分に準備を整えておけ。王位を狙う他のベルの悪魔が、 待ち構えているだろうからな。 >準備が先だ …一哉の言う通りだ。 ここから先には、王位を狙う他のベルの悪魔が、待ち構えているはずだからな。 充分に準備を整えてから、出発するとしよう。 何匹いるか、正確には分からん。だが、確実に戦わねばならんのは、残り2人だな…。 翔門会を利用し、この王位争いを仕組んだ張本人である、ベル・ベリト。 そしてベリトに等しい力を持ちながら、なぜか奴に力を貸す、ベル・ゼブブ。 この2人は必ずや、俺たちの行く手に立ち塞がるはずだ…。 姑息なベル・ベリトの事だ。自分は最もバ・ベルに近い、サーバールームに陣を取り…。 まずは、どこかでベル・ゼブブを差し向けて来るに違いあるまい。充分に注意が必要だ…。 >気をつけるよ >バ・ベルもでしょ? ククッ…敵は悪魔だけとは限らんぞ? 政府に命じて封鎖を実行させたのは、他ならぬ天使どもなのだからな。 >どっちにしろ戦うでしょ? >天使が邪魔しに来る? …もちろんだ。だが、一哉が魔王になる前に天使はそれを阻止しようとするだろう。 フフフ…怖いか?それとも、やはり神と戦う事には、多少の抵抗があるか? アツロウ:お、オレは…、正直、分からないっス。迷ってないわけじゃないし…。 フフ…では、お前たちが迷わぬよう、1つ話をしてやろう。 確かに、この世界に伝えられる神話や、様々な宗教において、神は絶対の存在だ。 全てにおいて完全だとされている。 だが、それは本当か…?本当に神とは、完全な存在か?…答えろ、一哉。 >完全だと思う ハッハッハ…!では聞こう、一哉よ。 人間はなぜ、堕落する?悪魔はなぜ、魔界へ堕ちた? どちらも、完全なる神の創り給うた、栄光の子であるはずなのに、だ!★ >違うと思う その通りだ、一哉よ。真に神が完全であるならば、我らを創る時にも失敗はあり得ない。 人間が堕落し、悪魔が存在する以上、奴が単なる欠陥品である事は、紛れもない事実なのだ…! ★分かるか…神は完全ではない。奴は身勝手に我々を創り出し、自らの意にそぐわぬ時は排除する。 無論、天使とて何ら変わる事はない。何しろ、天使を創り出したのは、他ならぬ神なのだからな? …神とは、信じる者を救う存在ではない。信じぬ者を力によってねじ伏せるのだ。 自らの身勝手な主張によってな! >腹が立つね >宗教戦争がいい例だ …その通りだ。神の慈悲は信者のみに与えられ、他の者は神によって滅ぼされる。 それが、奴の教えであり、絶対の正義なのだからな。 天使とは、そんな神の使いだ。神による暴力の具現に、他ならない。 そもそも、奴らが政府をたきつけなければ、我々が山手線内でこうしている事もなかったのだからな。 >どうしよう? >政府に交渉しよう フッ…時間があるに越した事はない。多少の望みがあるのであれば、交渉する事に、損はあるまい。 …フッ、それはどうかな…。奴らは、それでも我々の要求を飲まざるを得ないと思うが? さぁ、奴らの所へ向かうぞ! ■赤坂(イヅナと伏見) >隊長に話がある >交渉しに来た >実はですね >それはナオヤから フン…、そこからは俺が話そう。 俺は、峯岸直哉だ。翔門会を調べていたのなら、名前に聞き覚えがあるだろう? フッ…そう熱くなるな。 悪魔は翔門会が喚び出し、封鎖は政府が行った…。俺には何の罪もないだろう? …黙れ、政府の犬が。お前と問答する時間はない。 我々はこれからサーバーへ向かい、一哉を悪魔の王にする…。お前も、それに協力しろ。 ほう?…俺は構わんぞ?好きなだけ抗え、だが…。 本当に人々を救いたいのなら、協力した方がいい…。 …足りない頭で、良く考えろ。魔王となるのはここにいる一哉だ。 頂点に立つ存在が命じれば、悪魔は人間を襲えない。つまり、悪魔の脅威は消え失せる。 …幸い、一哉は優しい心の持ち主だ。よもや悪魔に人を襲う事を、命じたりはしまいよ。 …どうだ?これはお前たちが望んだ事と、何か違うのか? >確かに信じられないよね >信じて欲しい …天使の話なら信じるのか?だが、天使に義理立てしているのなら、やめておいた方がいいぞ? 奴らは、お前たちの努力が決して実らない事を知っている。 …理由は2つ。 まずは1つ目だ…お前は本当に、最終決断とやらで悪魔を根絶できると思っているのか? …人の持つ、あらゆる兵器を用いても、全ての悪魔を殺す事など出来はしない。 確かに、政府が最終決断を行えば、封鎖内のCOMPは破壊され、使役者はみな、死に至るだろう。 だが…悪魔は違う。使役者を失い、自由を得た悪魔たちは、一斉に封鎖の外へ襲いかかる。 つまり…お前たちが最終決断を、実行したところで、悪魔の流出は止められんという事だ。 2つ目…。我々はすでに、魔界への扉を開いた。六本木に現れたものが、それだ。 もし、俺たちが死にこのまま数日が過ぎれば、世界は魔界に飲まれて行くだろう。 …そうなれば、この国は終わりだ。 クックック…天使とは本当に、人間の自主性を重んじてくれる存在だな? 何ひとつ、真実を教えてはくれないのだから…。 …忘れるな。悪魔召喚プログラムを組み上げたのは、この俺だ。 悪魔の事を誰よりも知っているのも、この俺をおいて他にない。 …もう一度だけ言おう。天使が何と言おうと、封鎖内の人間を殺す事には何の意味もない。 悪魔は増殖を続け、世界は終わるのだ。天使に助けなど、期待するんじゃないぞ?クックックック…。 …我々の準備は、全て整った。あとは時間の問題だ。 だが、一哉を魔王にしたところで、政府が最終決断を実行したのでは、全てが水泡に帰す事になる。 話が早くて助かるな。…そういう事だ。 フフフ…、お前にそこまで期待するものか。 どんな手を使ってでもいい、リミットさえ延ばせれば充分だ。 …封鎖内の何十万人を救える可能性があるんだ。不利な交渉ではあるまい? フフフ…良く考えろ。作戦中止はムリだとしても、出来るだけ時間を稼げ…。 フフ…構わないぞ?世界の全ては、お前次第だ。 我々は六本木に向かう、時間をムダには出来ないからな。 何がおかしい?俺は真実を告げたのみだ。至極、まっとうな交渉だろう。 >いい交渉だった >交渉というより命令だ フン…選択肢のない状況に追い込まれた、奴らの無能さがすでに罪なのだ。 これで…奴は俺の意のままに動く。自らの立場が危うくなろうとも、期限の延長を実現してくれるだろうさ。 アツロウ:オレ、絶対ナオヤさんを、敵に回したくないっス…。 ああ、事実だ。全てを伝えてはいないが、伝えた言葉に偽りはない…。 なに、気に病む事はないぞ?天使とて、武力を背景として政府に封鎖を迫ったのだからな。 …汚い手段は、お互い様というワケだ。 これで、絶対の正義であった天使が、自分たちの味方ではないと知るワケだ。 政府の判断は鈍る…。奴らはムダな会議が大好きだからな。その分、時間が稼げる。 …理解が早くて助かる。 >なるほどね では、六本木へ急ぐぞ…。交渉は成功したが、時間に余裕はない。 >六本木へ急ごう …その通りだ。交渉は成功したが、時間に余裕はない。六本木へ急ぐぞ…。 ■六本木(ヒルズ) さて…このビルの最上階から、バ・ベルにアクセスを試みるぞ。 >自分もベルなのに? >そっちこそ力をよこせ! …お前に最後の役目をやる。ここで、果てろ。 チッ…ぬかったか…。 …虫ケラ、不快な羽音だ。サッサとベルの力を置いて、主の下へ逃げ帰れ…。 >良くしゃべるハエだ >人間をなめるなよ ベル・ゼブブは、魔界の貴公子とさえ称されるほどの、強大な力の持ち主だ。 奴を倒した今、一哉の内に眠るベルの力はより強くなった事だろう。 >そんな気がする フフフ…いい傾向だ、自らの内に眠る力を自覚しろ。 …あとはベル・ベリトだけだな。 ★ベリトは翔門会の教祖クズリュウが、契約をした神であり、今回の王位争いを仕掛けた張本人だ。 >あとはベル・ベリトか ★ …俺の見る限り、教祖は本気で人間を救おうとしていたな。 奴は神の試練が訪れる事を知り、文明の利に頼り切った現代人は、それを越える事が出来ないと悟った。 …確かに、今の人間たちは平和に溺れ、堕落しきっている。あながち間違いではあるまい。 …今回の封鎖でなくとも、試練は必ず訪れたさ。神とは…そういう存在だ。 >神に恨みでも? >何か知っているの? フン…、今はベル・ベリトの話だ。 前にも話したが、奴の狙いは、バ・ベルに眠る、始原のベルの力だ。 奴はかつて神に敗れ、幾多のベルに分かれた中でも、始原のベルの中核を担っていた、最も大きな存在だ。 …だからこそ、他のベルに比べ、かつての力を取り戻す事にどん欲で、神を憎む心も、深いのだろうな。 ベリトの目的は、バ・ベルに眠る始原のベルとしての強大な力を取り戻し、神と戦う事…。 ゆえに、神の試練に抗おうと考えた、翔門会の教祖の喚びかけに、応えたに違いあるまい。 バベルの塔で起きた悲劇を防ぎたかった教祖と、神に恨みを抱くベル・ベリト。双方の利害は一致を見たワケだ。 ベリトは魔界のみならず、近しい世界のベルを全て喰らい尽くしているようだ。 アツロウの言う通り、その力も相当なものだろう。 >勝てるかな? ★お前はこれまでに、ベル・デルや、ベル・イアル、イザ・ベルやベル・ゼブブの力を得た。 その上、奴を人間界に引き込む事が出来れば、本来の力を発揮させずに戦う事が出来る…。 この条件で勝てないようでは、奴に勝つ方法などないという事だ。 >こっちもベルの力を得たぞ …その通りだ。★ >…大丈夫なの? >勝つに決まってる 2時間…か、まぁ上出来だ。だが最上階まで登れば、降りる時間はないな…。 一哉、どのような状況にも完ぺきに対処できるよう、事前に準備を整えておけ。 ■六本木(ヒルズ) >だらしないな >明日があればね フフフ…、グチは終わってから聞いてやる。サッサと用意しろ、時間はないぞ。 サリエル:愚かなる人間よ…、お前たちの命運は尽きた。神の刃の前にひれ伏すが良い。 アナエル:ベルの力を得て御主に挑もうなどとは…。思い上がりも、はなはだしい! フン…思ったより早かったな。サリエルと、アナエルか…。自ら出向くとは、忠義だな? クックックック…!天使様も相当、焦っておられると見える。 サリエル:…もはや人間どもでは、お前たちを止められぬであろう? だが…もう1つ、理由もある。峯岸一哉よ、神の使いとなり、人を導く気はないか。 ベルの力を持つお前が、神に頭を垂れるなら…、我ら天使は、お前がベルの王となることを容認しよう。 そして神の御業を助け、世界に光と秩序をもたらすならば、人を許し、この封鎖を解く事も約束しよう。 …峯岸一哉よ、答えよ。神に仕え、光り輝ける王となるか?神に挑み、永劫の闇に沈むか…。 >光り輝きたいな やれやれ…一哉。お前は、まだ何も分からないのか? 神の下僕となる道を選べば、人間の自主性は失われ、秩序という名の下に、 束縛された日々が続く。 お前は自分の自由な意志を奪われ、神の言いなりになって生きたいのか? そんな人生に、意味などなかろう。 ★ >闇で結構だ クックック…!残念だな、天使ども。 一哉は、俺の弟だ。お前たちの甘言に惑わされるほど、愚かではないぞ…。 神や、貴様らが理想とする世界に、人間の自由などは存在しない。そんな人生に、何の意味がある! ★我らは人として、ここに宣言しよう。この戦いは、人が人であるための戦いだ! 神の脅しに屈する事はない! サリエル:…姑息な罪人よ、お前の言葉は、偽りにまみれている。神は、哀しんでおられるぞ。 クククッ…好きに哀しむがいいさ。不公平な神の、身勝手な哀しみなど、俺の知った事か…! アナエル:…ア・ベルよ、祝福されし子であるお前が、なぜその男に従うのです? 魂の記憶を失い、本当に人に成り下がったのですか? >魂の記憶? >何の話だ? アナエル:ア・ベルは神の子として形作られました。お前の中にも、その記憶は受け継がれ、 今も確かに息づいているはずです…。 チッ…一哉!ソイツの言葉に耳を貸すな!お前を混乱させようとしてるだけだ! アナエル:…愚かなるア・ベル。お前が付き従っているのは、お前の命を、一度は奪った男なのです。 クククッ…。もはや、何を言っても手遅れだ!そこを退け、天使ども! サリエル:ア・ベルよ、目を覚ませ。今なら、まだ間に合う。神の代行者として、我らに従うのだ! >神の代行者? >目なら覚めてる サリエル:お前の歩むべき道は、ベルの王たる、その力をふるい、人に秩序と神の正義を説く道だ! フッ…。ベルの王としての力さえ、己の秩序に組み込もうというのか? クックック…!手柄をかすめ取るやり口も、神ゆずりというわけか! サリエル:…カイン、神の子にして、原初の罪人となりし愚物よ。お前こそ、万死に値する! アナエル:…バカ…な。このような力を、悪しき者どもが持つとは…。 サリエル:案ずるなアナエルよ、後は私が始末を付けようぞ。 サリエル:な…何と…。人間界では、我らの力が充分に発揮できぬか…! >先を急ごう >済んだ話だ …神の創る世界とは、絶対の秩序と、正義が支配する世界だ。奴らの判断に例外はない。 だが、人が一切の罪を犯さず、その生涯を終える事は難しい。…違うか? 奴らの行う秩序の下、人が裁かれれば、全ての人間は罪を負い、罰を受ける。そこに慈悲など存在しない。 神に怯えるな、神に媚びる事もない。我々の世界は、我々が創り上げればいい。神など、不要の存在だ。 >分かっている >問題ないよな? カイドー:…だがヨ。天使ども、変なこと言ってやがったな。仲間になれとぬかしてやがったぜ…。 …一哉は魔王になる事が出来る。奴らは、その力を欲したのだ。 >魔王は天使の敵では? >どうして? 魔王とは、悪魔を従える存在だ。魔界にさえ幾人もいない魔王が、神の前に頭を垂れれば、どうなる? 神の名はその威光を増し、魔界は、欠けてはならぬその勢力の何分の一かを、根こそぎ失う事になるのだ…。 魔界と天界における力の均衡は崩れ、やがて悪魔は、神に抗ずる力をも、奪われて行く事だろう。 …神は、ベルの王となった一哉を、自らの尖兵として使うために、手元に引き入れるつもりなのだ。 クックック…その通りだ。薄汚く、身勝手で、救いようのないクズ。それが、神の正体だ…。 >ところでア・ベルって何? …残念だが、それに答えるつもりはない。 知ったところで、我々の目的に何の意味もなさない情報だ。 …あまり時間もない、準備が整い次第、出発するぞ。 >そろそろ最上階へ行こう …そうだな。準備が整い次第、出発するぞ。 ■六本木(教祖) さて…最上階へ登るか?一度上へ向かえば、降りる時間はないぞ。 >もう少し待って >出発しよう …上へ向かう途中で、時間切れになっては元も子もない。では、行くぞ…! ジャアクフロスト:魔王ホ、魔王ホ!オイラ、ちゃっかり側近ホ!一哉、万歳ホ〜! アツロウ:…いよいよ最後だな。この戦いが終わる頃には、オマエ、魔王になっちまう…。 だけどさ…オレはオマエと来て、良かったと思ってるよ。行こうぜ、カズヤ! ■非常階段 電気が通じていないからな、エレベーターを使う事は出来ん。 幾度も体験して来ただろう?携帯電話も、パソコンも、テレビも、ラジオさえムダだ。 現代社会は便利さに溺れ過ぎた。これらを奪われた時、現代人はどうなる事か…。 >耐えられるよ ほぅ…そうか? では、この一週間、普段と変わらぬ日常をお前は見てきたというのか? ★ >耐えられない ★フフ、翔門会の教祖が必死になって、神の試練を食い止めようとするのも、良く分かる…。 ■ヒルズ最上階 >何か変だな >どうだろうね 一般公開されない、本当の最上階だ。翔門会が召喚サーバーを設置するために、このフロアを借り切っている。 フン…教祖め、自らを供物としたか…。 ああ、一哉。言い忘れていたが、このパネルは同時入力だ…。 向こうのパネルと同時に操作しなければ、動かす事は出来ないから、注意しろ? タッチパネルの反応が悪いな…、翔門会め、安い技術者を雇うからだ。 エキストラは充分だ、…少し大人しくしていろ。 ベル・ベリト:ならば行くが良い…!見事バ・ベルへと至り、ベルの王として君臨して見せよ! 長かった…長かったぞ!今こそ…ベルは1つに…! これで、ベル・ベリトの持つベルの力までもが、一哉のものとなった…。 もはや、お前の行く手を阻める者は、どこにもおるまい…。 良くやったな、一哉。これで全ての準備は整った…。 そういう事だ…。ベル・ベリトが、サーバーを魔界へ持ち去るまではな。 メインサーバーは、すでにバ・ベルに取り込まれ、変質を始めているはずだ…。 だが…サーバーとしての因子が、完全に消えていない限り、ネットワークは生き続けているだろう。 フフ…勉強するんだな?さて、ムダ話をしているヒマはない。 一哉はベルの王たる資格を得た。準備が整い次第、バ・ベルを喚び、最後の試練を受けるのだ…! 最上階:…良くやった、一哉。あとはバ・ベルを喚び出し、最後の仕上げをするぞ。 ■最上階(バ・ベル召喚) さて…いよいよバ・ベルを喚ぶぞ。準備はいいな? >もう少し待って >バ・ベルを喚び出す …では、一哉。自分の中のベルの力を解き放ち、王の門バ・ベルを喚べ…。 カイドー:一週間か…、ヘッ…短いモンだな。 オマエとは、ずいぶん前からツルんでるみたいな気分だぜ。 …気合入れて行けや。何が来ても、オレたちがいるからヨ。 ジャアクフロスト:これでオイラも、偉くなれるホ!オマエの愛のおかげだホ〜! 一哉、大好きまくりだホ! マリ:一哉君、あなたが魔王になっても、私たちはあなたの味方よ。 私の命にかえても、あなたを守ります…。みんなで、頑張りましょう! アツロウ:へへ…まさか、一週間前に渋谷に呼び出された時は、こんな風になるとは思わなかったよな。 だけど後悔はしてないぜ?色々今までの事を見直す、いい機会になったし…。 まださ…オレたちのしてる事が、正しい事かどうかは分からないけど…。 これからも、オレはオマエの友達だ!行こうぜ…!カズヤ魔王軍団、出撃だっ! ナオヤ:一哉…俺の期待に応え、良くぞここまで成長した。今までも、これからも、 お前は時に迷い、そして苦しむだろう…。だが、安心しろ。俺は決して良い兄ではないが、 世界において俺を超える兄はいない。迷わず、進め…!お前こそが悪魔を率いる長であり、 神をも倒す、最強の魔王なのだ! アツロウ:こ…これが召喚サーバー?こんなにデカイのかよ…。 ナオヤ:最初から、こうだったワケではない。バ・ベルの依代となり、サーバーという存在が変質したのだ。 つまり、現在目の前にあるサーバーは、ほぼバ・ベルそのものと言っても、過言ではない。 カイドー:フン…とにかくコイツをブッ潰せば、試練は終わりだな?サッサと済ませようぜ…。 バ・ベル:我を喚び起こせしベルよ…。汝、ベルの王たるを望むならば、我が力、制して見せよ…。 我の力、我を制するに能わぬならば、我が試練の前に散るのみ…! アツロウ:ああ…やってやるさ。意地でもオマエに勝って、カズヤをベルの王だと認めさせてやるんだっ! ナオヤ:元が召喚サーバーとはいえ、今や悪魔バ・ベル以外の何者でもない。全員…手加減は無用だ! …ついに来た、この時が…。さあ、一哉よ!お前の全てを賭けて、バ・ベルを討ち破れっ…! アツロウ:何だ…バ・ベルが…!?おい、ヤベェぞ!みんな、下がるんだっ! カイドー:チッ…変身しやがった!これがバ・ベルの本当の姿か!? バ・ベル:汝が内に眠るベルの力、王たる資格に値すれど、汝、いまだその力を操る術を知らず。 今一度、己が内に眠るベルの力と向き合い、その真を我がものとせよ…。 アツロウ:ななな、何だ!ベル・デルに…ベル・イアル!? ベル・デル:我こそは不死の者…!人よ、我がために嘆くのだ!このベル・デルのために…! ベル・イアル:我こそは聖なる邪炎!全てを焼き尽くす業火なり!唱えよ、ベル・イアルの名を! カイドー:ああ…!?クソバラが…また出てきやがったか! イザ・ベル:我こそは、灼熱の花。アンタの心は美味しいかねぇ…?このイザ・ベルが喰い尽くしてやるよ! アツロウ:くっそ〜っ!何だってんだよ、まったく!ベル・ゼブブまで来やがった…! ベル・ゼブブ:我こそは、大いなる闇の右腕。さぁ、我が子らの苗床となりなさい。このベル・ゼブブのね…! カイドー:チッ…参ったぜ。肉団子ヤロウまで、出てきやがったンかヨ…。 ベル・ベリト:我こそは荒ぶる神…!王たる王、全てを統べる者なり!さぁ、ベル・ベリトの前にひざまずけ! バ・ベル:汝、神の子にして、万魔の王たらんとする者、…ア・ベルよ。 汝、人である事を捨てよ。汝は魔、汝は罪、汝は闇である。さぁ…今こそ、我と1つに…! カイドー:ほぉ…バ・ベルが割れやがった。王の門ってのは、こういう事か…。 バ・ベル:ベルは偉大なる主にして、全てを揺るがす破壊者なり…。 さぁ…我が力を受けよ。我を打ち破り、我が内に眠る力を、その身に宿すのだ! バ・ベル:汝が力、見届けたり…。神の子にして、ベルの力を宿し、人と生まれし奇異なる者よ。 汝こそは、我が主…。我が力、新しきベルの魔王へと、全て捧げよう…。 アツロウ:やった…。オレたち、本当にやったんだな! カイドー:フン…あっけねぇモンだ。やるじゃねぇか、一哉。 これで、全てオマエのモンだ。この世界が、丸ごとな…。 マリ:これでやっと、本当に終わりなのね…。これで、あの人もやっと、安らかに眠れるかしら…。 ジャアクフロスト:やったホ〜!一哉の勝ちホ〜!これで今日から、一哉がオイラたち悪魔の王様ホ〜! どこまでもついてくホ〜!! アツロウ:カズヤ、その…。何て言ったらいいか。はは、喜べばいいんだよな? オレら、ちゃんと自分たちで決めて、ここまで来たワケだし…。 おめでとう、カズヤ。…本当は、ここにユズがいたら、もっと喜べたんだけどさ。 >ありがとう >気にするな あ、ああ…。そう言ってもらえると救われる。はは、やっぱ凄いな、王様は! ナオヤ:良くぞ全ての力を手に入れたな、一哉…いや、ア・ベル。まさしく期待通りの器だ。 さて…魔王となった今、お前にはすべき事がある。…覚悟は、出来ているな? >当然だ ★ >…… …一哉、お前はすでに王だ。そのために、犠牲も払ったのだろう? 今さら怖じ気づいたでは、済まされないぞ…。 ★アツロウ:あ…だけど、ナオヤさん!封鎖は、タイムリミットは、どうなるんスか!? このままじゃ、結局、みんな殺されるんじゃ…! ナオヤ:…今や、封鎖はその意味をなさない。 一哉が魔王となった事を『宣言』すれば、それで全て解決する。 >どういう意味? ★ >すぐにやろう アツロウ:え…?ちょ…ちょっと待って!それって、どういう…。 ★ナオヤ:…忘れたか?一哉はすでに、人である事を捨てた。 もはや、悪魔が天使に挑む事は、人の意志とは無関係だ。 それを奴らに…、天使どもに知らしめるのだ! カイドー:フン…なるほどな。そうなりゃ天使は、人間を相手にしなくなる。 おまけに、一哉が人間の安全に、興味が無いと思い込めば…。 こっちの弱点を1つ、カバー出来た事になる。 …捨てる事で、逆に守る、か。 ナオヤ:フフ…COMPの持ち主を閉じ込めようが、抹殺しようが、奴らの好きにさせてやれ。 魔王がひとこと命じれば、悪魔は勝手に現れるのだからな。 それを目にすれば、天使の命令で封鎖を行っている人間たちも、その無意味さを悟るだろう…。 カイドー:クククッ…!やっぱりアンタは悪党だ、気に入ったぜ…? アツロウ:で、でもそれって…。 カズヤが魔王になったって、自衛隊とかが信用してくんなきゃダメなんじゃ…。 ナオヤ:…その通りさ。だからこそ、今すぐこの場で、一哉の力を証明するんだ。 さぁ一哉、宣言しろ…!これより魔界は、自ら立って、神との戦いに赴くと! お前の一声で、悪魔は集い、歓喜の声を上げるだろう! 全てが変わるぞ…、行こう、新たなる世界へ! 遊び人風の男:クックック…!やったじゃないか。 ついに魔王が生まれたようだねぇ? 良くやったよ、ナオヤ君。キミの念願は叶った…。いや、これから叶うのかな? さあ…ベルの王よ、神との戦いだ。勝てれば、人間を裁きの恐れから、 永久に解放できるかもしれないよ? …もっとも、戦いが決着した時、人間が巻き添えで滅んでいなければね。ククククッ…! 古からくすぶり続けた神と魔の争いが、この地上を飲み込んで、いよいよ始まる…。 楽しみだねぇ…実に楽しみだ。ボクは特等席で、見物させてもらうよ。 ッハハハハハハ…!