灼熱が体内に捻じ込まれる。 「ぐ、ぅ…ァ…――!」 反射で上がってしまう声に色気なんざ無い。 狭いナカを、ぎちぎちと無理矢理広げながら、入り込んでくる。 ここまできて、拒むのも妙な話だ。 自分からも、腰を押し付けてくるその男に、しがみつくことで挿入を手伝う。 は、とその男が吐き出した息には、やたら色があった。 ぐちん、とひとつ音を立てて、ナカを侵す動きが止まる。 「……ァ」 息を吐く。 全て、おさまったソレ。 生々しい他人の体温。 異物感に吐き気。 それよりも強く、じりじりとナカを灼く、熱。 「………あー、なんでオマエに、突っ込まれてんだ、オレ。」 実に今更な疑問が口をついて出た。 その問いに、奴、アーチャーは眉を寄せ、 「君が挿入れろと、言ったのだろう。ランサー。」 不本意そうな面で、そんなことを言ってきた。 そうだったか?と思い返してみれば。 ああ、確かに覚えがある。言ったな。 ただの消去法だが。 オレがこいつに突っ込む気分にゃなれなかったから、 ヤるなら早くしろとかなんとか言ったっけ。 いや、だいたい何だってこんなことになってんのか。 原因は間違いなく、この男だ。 「……野郎なんざ押し倒して、何が愉しいんだよ。正気じゃねぇな。」 先に手を出してきたのはアーチャーだ。 それは間違いない。 ってのに、この野郎。 「煽ったのは、君だ。」 そう、平然と言いやがった。 「こ、の……っン!」 文句を言おうとした声は、途中で甘い声に変わった。 「ああ、悦い所にあたったか。」 「てめぇ…っ」 いきなり腰を揺らしてきたアーチャー。 それが言葉通り、ナカの一番過敏な箇所を抉り、思わず声が上がる。 至近距離にある鋼の瞳を、殺気を込めて睨みつけると、 奴はオレのその視線を受け止め、目を細めた。 突っ込まれてる以上、明らかにこっちの方が不利だが、 やられっぱなしってのは、ゴメンだ。 奴の喉元に顔を寄せ、噛み付く。 喉仏に舌を這わせれば、震える皮膚の感触。 アーチャーは、オレの腰を掴んで押さえ、緩く突き上げてきた。 ン、と喉が鳴る。 噛み付いていた喉元から口を外すと、今度はアーチャーが、オレの唇に噛み付いてきた。 オレのナカを、上と下から貪るように。 どちらも、熱い。 「……ハ、…っ」 思わず笑みが零れた。 「…っ、何だね、」 眉間に深い皺を刻み、体の動きは止めないままに訊いてくるアーチャー。 「っ、ん、随分イイ貌、してるぜ、アーチャー。」 「…っ、それは、こちらの台詞だ、ランサー。」 オレの指摘に、心外だとばかりに反論するアーチャー。 ま、確かに、オレも気持ちいいので、違いないとそのまま笑った。 こいつの貌を歪ませるのなら、刃を交える方が好みだ。 単純にそれだけの話なんで、こいつに突っ込む気分にはなれなかったが。 これはこれで、悪かァ無い。 互いの肉を貪る。 唾液を啜り合う。 爪を立て、牙を立て、悦楽を求め合う。 ただの獣に成り下がる。 「っ!触る、な……っンぅ」 アーチャーの手が、オレの中心の熱を掴み、扱いてきた。 絶妙なその手指の動きが、腰にくる。 同時に奥を突かれると、ヤバい。 オレの制止を気にもせず、高みに向かって体を揺さぶってくる。 「……っ、は……ァ」 オレを侵す男から零れる声。 どっちがヤってるんだか。こいつもイイ声、出しやがる。 こっちの前立腺を深く抉る動きで突き込まれて。 「………っ、ァ、く………!!……ぅ、」 アーチャーの腕に爪を立てて、オレは白濁を吐き出した。 それは自分の腹や胸、奴の腹にも飛び散る。 少し遅れて、自分のナカ、最奥にじわりと広がる熱を感じ、 見れば、腰を震わせ息を吐く男の姿。 注ぎ込まれた熱に、オレは掠れた吐息だけ、零した。 「…真っ昼間から、何やってんだか。」 呆れた声が出た。 いまだ、ナカには奴の熱。 抜けと言っても聞きやしない。 始めた理由もよく分からない。 考えてみれば。 気が向いたからと、酒を飲むのに、こいつを付き合わせたのが拙かったのか。 あっさり付き合うこいつも、どうかしてるが。 酒を買い込んで近場のビジネスホテルに入り、飲み始めて。 ……酒のせいか? いや、酔った勢いとは思いにくい。 どうみても素面に見えるんだが。 「なぁ、アーチャー。オマエ、酔ってんのか?」 聞いてみた。 「酔っていた、ということにした方が良いなら、そうしておくが。」 返ってきたのは、答えではない答え。 ……見えねぇが。こいつ、意外と酒弱いのか。 それがオレの出した結論だった。 でかい体で男のオレなんざに懐いてくる。 その姿に苦笑を零す。 額におりた前髪のせいか、その貌は幼く見え。 「…まァ、いいか。」 そう呟いて、オレはアーチャーの後頭部に手を回し、引き寄せて口付けた。 アーチャーは応えるように口を開き、舌を絡めてくる。 そしてまた、沈んでいく。 どんな感じになるかな、と書いてみた、弓槍。 どっちが受けなんだか(笑) 肉体ー弓槍で精神ー槍弓が、とても好きです。 アーチャーは、酔ってるのか分からない酔い方しそうだなーと思って。 あとランサーより弱いってだけで、たぶんすごい量飲んだ後だと。