何故この男は、わざわざ堕ちてくるのだろう。 いや、自分程度の存在では、この男を堕とすことは、できない、か。 「っ、まだ…抜かない、つもりか……っァ、は…っ、いい加減、抜け。何度目だと」 「あ?まだ、いけるだろ…っ」 制止の言葉など聞かず、目の前の男はこちらの脚を抱え、腰を掴み、 後孔に突き入れたその熱で内部を擦りあげてくる。 ひっきりなしに粘ついた音が響く。 幾度も精を注がれたそこは、女の器官のように適度に緩み、濡れて、 この男の、ランサーの熱を締め付ける。 突き上げられるたびに零れる声を堪えるのは面倒になって、やめた。 それから何度目になるのか数えるのも、億劫になり。 ただ、目の前の男に縋ることだけは願い下げだったので、 手は下のシーツを握り締めた。 この身を貫く痛みには、慣れている。 それは、武器であろうと、他人の体の一部であろうと、同じことだ。 この男が与えてくるものが痛みだけであったなら、何の問題も無かった。 忌々しいものだ。 「酔狂な…男だな、君は……っ、」 体を揺すられながら思っていたことが、無意識に音となり零れた。 真意を問うようにランサーがこちらの目を覗き込んでくる。 ああ、本当に物好きだ。 人としては勿論、英霊としても欠陥品のこの身の何が、興味を惹くのか。 理解に苦しむよ、とだけ吐き捨てる。 ランサーは緩やかに私の体を突き上げながら、体を倒してきた。 至近に迫る顔。薄く開いた唇から伸びる舌。 何を、と思う前に、咄嗟に閉じたこちらの瞼を、捲るように、 ぐ、と力を込めて、舐められた。 二度、三度と繰り返す。 眼球に直に感じる舌の滑りに、ぞく、と悪寒に似た何かが走る。 執拗なその行為を遮るように男の後頭部に手をまわし、髪を掴む。 その拍子に自身を抉る熱の角度がかわり、う、と自分の口から呻きが漏れた。 「オマエが涙なんざ見せるのは、この時ぐらいだろ。それを見るのが好きなんだよ。」 ランサーはそう言って、目尻から頬を舌で辿ってくる。 涙といっても所詮、生理的なものだ。 だが、そのたかだか生理的なものでさえ、確かにこの男が言うように、 こんな時でなければ流すことが無かったか、と。 まだ自分の中に、それはあったのだな、と、 自身のことながら、他人事のように思う。 ふと、考える。 いっそ、この身全て、喰らえ、と。 私の体がこの男の血肉となれば、そうすれば、この光のような男でも、堕ちるだろうか。 いや、自分がこの男の光に、融かされるだけかと、すぐに思考を止めた。 どこまでも、憎らしい男だ。 だから。 「私は、君が、嫌いだよ、ランサー。」 笑みさえ浮かべて告げた。 声は掠れ、愛の告白と大差ない響きだっただろう。 ランサーはこちらの言葉を受けて、嬉しげに笑う。 そして。 「そうか。オレは、オマエが、好きだぜ。」 そう、返してきた。 「ハ、笑えない、冗談だ。」 私が鼻で笑えば、 「笑う必要はねぇさ。冗談を言ったつもりは無い。」 ランサーは至極真面目に、だが目元を緩ませて言う。 「そうか。」 「そうだ。」 確認の問いかけには、肯定の言葉。 「君は、私が、好きなのか。」 改めて訊くと。 「ああ。オレは、オマエが好きだ。オマエがオレをどう思っていようがな……エミヤ。」 そう口にした男の、その声の甘さに。 本気でこの男の喉を、喰いちぎってやりたくなった。 結局。 この男の光に、泥のようなこの身は、呑まれてしまう。 声にならない声を、あげた。 何を言ったのか、自分でもよくわからず。 まるで、助けを求めるように差し出した手は、その男に絡め取られ―――。 ああ、オレには眩しすぎる。 弓槍弓、という看板を出したので、槍弓でも書いてみたよ、えろ。 この部屋の充実を望んでくださったH月さんに、こっそり捧げてみます。 さすがにこれを送りつける度胸はありま、せん、でした。 結局、弓と槍の攻受って、どっちが突っ込んで、どっちが突っ込まれるか、 それだけの意味なんですよね、私の中では。 なので、えろでなければ、弓槍弓。 リバというか、どっちも攻めでどっちも受け、みたいな。 傾向としては、弓槍だとわりと仲がよく、槍弓だと片想い両想い。 弓が受けだと、思考が沈みます…。 そして、我がどんだけ兄貴を崇めているか、思い知りました。 だって、真っ当にカッコイイと思うのですよー。 弓はむしろ可哀想で可愛いというベクトルに…。カッコイイとも思いますがね!