味見
魔力供給が済み、いつもどおりにさっさと俺の部屋から去ったギルガメッシュ。
身体を流したい、と思いつつも次第に面倒になってきて。
俺はベッドの上、ほぼ裸に近い状態でぼんやりと仰向けに寝転がっていた。
誰が見ても、性行為後、と解るような有様で。
その時、突然声がかけられた。
「よぉ坊主。話があるんだが、いいか?」
声が届いた瞬間、俺は咄嗟に起き上がり下肢にシーツを巻きつけた。
自分でもよく動けたと思う。
「ランサー……!ちゃんとドアから入って来い、馬鹿!!」
反射的に俺は、すぐ傍に現れた人影にそう怒鳴りつけていた。
俺を見下ろす近さで立っていたのはランサー。
霊体化して入ってきたのだろう。
「一応確認したぜ。坊主が一人なのが解ったから、問題ねぇと判断したんだが…。」
ランサーはそう言うと、俺の頭から脚の先までを、じっと見て。
「間は悪かったみてぇだな。」
嫌な笑みを浮かべて言ってきた。
ランサーに悪いと感じている様子は無く。
さらに言葉を重ねてくる。
「ここに女はいないみてぇだし。相手は男か。イイ趣味してんな坊主。」
「…言っておく。俺は魔力を提供してるだけだ。そうでなければ、こんな真似、誰がするか。」
俺は溜息をつきつつそう答えた。
遊びで、と思われることだけは避けたい。
あまりにも趣味が悪い。
ランサーがこういった態度を取るので、初めは僅かにあった羞恥心も吹き飛んでいた。
ランサーは、魔力供給ね、と呟くと。
「なら相手はギルガメッシュの野郎か。」
そう俺に確認してくる。
その答えに行き着くのは、必然で真実だったので、俺は頷いて、
「今に始まったことじゃ無い。」
そう軽く返した。
いずれランサーには知られるだろうと思っていたので、バレて少し気が楽になった。
色々複雑ではあるが。
ランサーは無言で俺を見ていた。
その視線には力があって、まるで肌に触れられているようにも感じて落ち着かない。
「…殆どの魔力は、採られた後か。」
「?…ああ。」
「ちっ、ならあんまり無理はさせられねぇか。」
ランサーは舌を打つと、俺のいるベッドの上に膝をついて乗り上げてきて、俺の肩を掴んでき、て?
「ってランサー、何やって」
「なぁ、これ、坊主のか?」
「っ……多分。」
慌てる俺には構わず、ランサーは俺の胸や腹に散った白濁を見て訊いてきて。
俺は一瞬躊躇ったが、なんとか答えた。
俺の返答を聞いて、ランサーは。
大分乾いてきているそれを、掬い取るように、俺の腹に顔を寄せて、舌を這わせて、き、た。
「ランサーっ!!」
「……薄い。」
「薄い、じゃないっ!アンタ何してんだ…!俺に話があるんじゃなかったのか!?」
「ああ、用件はコレだ。ついさっき一戦やりあってきて、魔力が減ったんで。
坊主に少しばかり貰おうかと思ってな。」
ランサーの言葉に、改めてこの男を見てみると。
「…大分減ってるんじゃないのか…?」
言葉通りだと理解できた。
「今頃気付くか。」
少し呆れたように言いながら、なおも俺の腹に舌を這わせるランサー。
「馬鹿。それなら自分のマスターに、綺礼に言えばいいだろ。」
「ゴメンだな。不味いんだよアイツの魔力は。」
「好き嫌いの問題じゃないだろ!」
「いいじゃねぇか。今日のところは坊主の精液だけで、いいからよ。」
喚く俺をさらりと流して、ランサーは俺の腹にこびり付いている白濁を舐め取っていく。
間違っても大人しくしているわけじゃないが。
ランサーの腕でがっちりと腰を抱えこまれてしまっているので、動くに動けない。
だいたいギルガメッシュに色々奪われた後なので、身体もだるくて。
「…それで、足りるのか?」
どうにでもなれと開き直って、俺はランサーに訊いてみた。
「……足りねぇな。」
ランサーはそう言うと、俺の下肢に巻きつけているシーツを剥ぎ取って、俺の中心を覗き込んできた。
その行動は、予測済みだったが。
「もう無理だぞ。」
簡潔に俺は答えて、ランサーの望んでいるだろうことを、拒絶してみた。が。
「若ぇんだから、あと一回ぐらいイけるだろ。」
ランサーは俺の拒絶など無視して、そんなことを軽く言ってきて。
止める間も無く、俺の中心は、ランサーの口のなかに、おさまった。
「っこの、少しは話を聞け…!!」
こうなるだろうという予感はあったが素直に受け入れられるわけもなく。
いやもう、本当に、無理だ。
容赦なく中心に直接愛撫を与えられれば反応はするし、快楽を感じもする。
だが、既に散々吐き出した後。
なかなか絶頂は訪れない。それが、くるしい。
「っ、ふ、ぅ…、っく、ァ…」
「…駄目か、坊主。」
「だ、から…はじ、め、に、いって、るだろ…っは…」
「…こっちじゃねぇと、イけねぇとか。」
「っぁ…ま、て…!」
ランサーは俺の中心を銜えながら、その奥、後孔を指で撫でてきて、そのままその指を一本挿しこんできた。
なかはまだ充分に解けていて、簡単にランサーの指を受け入れ、きゅうと締め付けた。
自分で意図しているわけでない身体のなかの淫らな動きに眩暈がする。
ランサーが笑う気配。なかに入った指をぐるりと動かされて腰が小さく跳ねた。
焦らすことなくその指が前立腺に触れて、そこだけを強く擦ってきて。
「っ、ァ、ぅっ、ふ、ふ…っぅ」
掠れた声がひっきりなしに零れる。
中心に与えられる快楽もどんどん増していくようで。
なんでこんな面倒な真似をしてまで、俺の魔力が欲しいんだろう。
そんな疑問が頭をよぎった。
濡れた音が耳に届く。
どれぐらいの時間が流れたのか。
やっと終わりが見えてきて。
「ラン、サーっ、」
名を呼べば、ランサーは上目でちら、と俺を見て、なかを抉る指の動きに合わせて、
今までで一番強く、中心を吸い上げてきた。
「――――っ!」
一度だけ腰を震わせて、溜まっていた熱を、ようやく吐き出すことができた。
たいした量じゃないそれを、ランサーが呑み込む音がする。
これで、完全に、からっぽ、だ。
俺はそのままベッドに崩れ落ちた。
瞼が重い。
意識を手離す直前に。
「ご馳走さん。旨かったぜ、坊主。」
そんなランサーの声と、俺の頭を撫でるランサーの手の感触を、感じ、 た。
目が覚めると、何時もの起床時間だった。
疲労は感じるが、魔力の方は、少しは回復したようで。
それよりも問題は。
俺はちゃんと寝間着を身に着けていて、風呂に入った記憶はないが身体に不快感は無く。
……誰がやったのかは、考えるまでもない。
正直に言えば助かったが、羞恥は魔力を採られた時以上だった。
顔が熱くなる。
俺は、ばふ、と枕に顔を埋めてしばらく起き上がれなかった。
あの男なりの礼のつもりなのかもしれないが。
妙な所で細かい男だと、思った。
性交渉=魔力供給手段と完全に割り切ってます、この士郎。
なので士郎からの感情は単純な好意のみ。
金→士で槍→士状態?恋愛感情まではいってなさそうですが。
士郎のことが気に入っているのでランサーは士郎の魔力を味わってみたかったと。
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