かみさま



 
散々喰らわれた身体。
手足をシーツに投げ出す。
そんな俺の身体を撫でるギルガメッシュの手。
『食事』が終わっても、暫く俺を放さないことが最近増えた。
単に、冬場で寒いせいなだけかもしれないが。
俺の首に引っかかったままのクロスをギルガメッシュが戯れに指に引っ掛けて軽く引いてくる。
チェーンが肌に食い込んで少し痛い。
それでも俺は抵抗せず、目を閉じた。
ギルガメッシュが俺を好き勝手に玩ぶのは、いつものこと。
これぐらいの事は別にどうということもない。

聖職者の子供のくせに、こんな風に身体を開いて。
我ながら、神に喧嘩を売っているよなぁと思うと、可笑しかった。
そういえば、ギルガメッシュも神様なんだった。
ヒトの血も少し混じっているようだが。
なら俺は、神を汚す地を這うモノ、といったところだろうか。
似合いすぎる。
神の慈悲を与えられている、と言えなくも無いが、柄じゃない。
俺にしても、ギルガメッシュにしても。

「随分と愉しそうだな、雑種。」
ギルガメッシュにそう言われて、俺は自分が笑みを浮かべていたのだと知る。
俺が他の事に意識を向けているのが不服だというかのように、
ギルガメッシュの声は不機嫌を隠さず低い。
……まぁ、慣れたけど。
「別に。聖職者なのに、お前との行為に溺れて、ろくでもないなって思ってただけだ。
 そのうち神様に罰を、与えられそうだ。」
今、考えていたことをそのまま告げれば。
「ハ、神など信じておらぬくせに、何を言うかと思えば。」
そういって可笑しそうにギルガメッシュが口元を歪めた。
「まぁ確かに、教義にあるような神の存在は、あんまり信じていないけど。
 目の前にいる、お前のことは、信じてるぞ。現実に、こうやってここにいるんだからな。」
俺はそう言って、俺のクロスを引くギルガメッシュの指先にそっと触れた。
俺の言葉に一瞬だけ、目を見張った後、
ギルガメッシュは眉を寄せて。
「我を、神などという下らぬモノと、同一視するな。」
そんなことを、言ってきて。

「?お前って、三分の二は神じゃなかったか?」
「……」
「…神様、嫌いなのか?」
「……」

俺の問いかけにギルガメッシュは答えない。
それがおそらく答えだ。
そうか、こいつ、神様嫌いなのか。
なら、その血が自分の身体の中に流れているのは、さぞかし嫌だろうな。

ち、と舌打ちが聞こえて。

「っん!」
俺はクロスを勢いよく引っ張られてギルガメッシュに引き寄せられ、
そのまま唇に噛み付かれた。

「ちょ、っ、八つ当たり、するなっ」
「抗うな雑種。大人しく我にその身を差し出せ。」
「この……っ」

どうも地雷を踏んでしまったらしい。
そのまま再びベッドに押さえつけられた。
俺を見下ろすギルガメッシュを見上げる。
ギルガメッシュは、確かに人間離れしてはいるが、
『神様』というよりも、やはり、ヒトを支配する『王』と呼ぶ方が、しっくりくる。
欲望に忠実な姿は、ヒトのそれに近い。

「…そうだな。ギルガメッシュは『英雄王』だったな。」
「フン。解れば良い。」

俺の訂正に、鷹揚に頷いたギルガメッシュは、俺の首筋に顔を埋めてきた。

…火がついた以上は、仕方ないか。

口は災いの元。
そんなことを思いながら。
俺は観念して、身体から力を抜いた。





神を嫌っていることで神性ランク落としちゃってるギルガメッシュが好き(笑)
コトシロさん相手だと、ホロウのイメージが強くなります、ギル。













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