食事の時間



 
「士郎」

ギルガメッシュが俺の名を呼ぶ。
それが意味するものを、俺は静かに受け止めた。
それは開始の合図。この教会に来てから、形を変えながらもいつの間にか生活の一部になっているそれ。

食事の時間だ。


「ん……ぅ」
口を開かされて口内を貪られる。舌を絡めとられ、きつく噛まれ痛みと血の味が口内に広がる。
それを唾液と共にギルガメッシュが飲み込む音がする。
「は…っ」
呼吸が乱れ始めた頃にようやくはなされる。
そして、ぐ、と押し倒され、今度は首筋に噛み付かれる。
血が滲むほどにきつく歯をたてたあと、ざらりと舌で舐め上げ、次は鎖骨をたどり胸へ。
胸の尖りを舐り、ここにも歯をたてる。敏感なそこへ与えられる強い刺激に。
「っ……あ………ッア!」
甘ったるい声が零れた。ギルガメッシュが喉の奥で嘲笑う。
何度繰り返された所で、この行為による恥ずかしさやら屈辱感が消えることは無い。
俺はせめてと唇を噛み締めた。

俺はどうやら魔術師としての素質があったらしく。
教会にきてすぐに、強引に魔術回路とやらを開かされた。
そしてギルガメッシュは、俺の腕に傷をつけ、その傷口に唇をあて、血中に含まれる魔力を啜りとった。
それが始まりだ。
初めは驚きもしたし、恐怖もあったと思う。
傷口を抉られながら血を吸われるのも、目の前が赤くなるほど痛かったし。
だが、繰り返されるうちに慣れていった。
感覚が麻痺していった、とも言えるかもしれない。
この行為がギルガメッシュにとっての食事のようなものだとも感じた。
黙ってしばらくの時間、受け入れればいいだけの話で。
そうしていつか、普段は俺を雑種と呼ぶギルガメッシュが、士郎と名を呼ぶときが、
開始の合図なのだと知るようになった。
それが数年続き、ある時を境にこの行為はより深いものへと変わった。
要するに、ギルガメッシュに犯されたのだが。
この行為の意味を知ったのはすべてが終わった後だった。
絶頂後、体内の魔力を吸い上げられたことによって、身をもって意味を理解した。
確かに血液から魔力を摂取するよりは、こちらの方が手っ取り早いのだろう。
悪趣味だとは思うが、それは今にはじまった話ではないし。
だが、正直、精神的にも肉体的にも俺の負担は大きくなった。
いくら快楽の同調が必要だからといっても耐えられるようなものでもなく。
そんな俺の葛藤を、ギルガメッシュは愉しんでいる。それがわかるからなおのこと、なのだが。
この行為がギルガメッシュにとっての食事である以上やめることはないだろうし、
今の俺は、独りで生きていく術など無いのだから、教会を出て行くこともできない。
結局の所、受け入れるしかないのだ。

「っう…」
ギルガメッシュの唇は俺の下腹部に達し、今までの接触により半ば反応していた俺の中心に顔をよせ、
左手で掴み、舌を下から上へとゆっくりと這わせた。
「ァ…っ、は…っあぅ……ン!」
びくん、と震えが走る。ギルガメッシュは何度も舐めあげたあとゆっくりと口内に含み、
じゅ、と強く吸い上げた。舌の先で先端を抉り、深く含み歯をたてる。
ギルガメッシュの唾液と、俺の先端から零れる体液が下へ伝い、奥の後孔を濡らす。
ギルガメッシュの右手の指が後孔に触れ、ぐ、と一本俺の内へと押し入ってくる。
「ぐ…ぅ……ふ、あ…」
僅かな痛みと異物感。それもすぐに中心に与えられている快楽によって消し飛ぶ。
怖いのはこの先だ。後孔の内にある前立腺。そこを擦られれば、もう自我なんて
保てなくなるほどの快楽に落とされる。
「は……はっ……あ……っア!」
荒い呼吸を繰り返す。そして、ギルガメッシュの指が前立腺を捉えた瞬間、高く声を上げた。
容赦なく、そこを抉ってくる指。一本だったものが、二本、三本と増やされる。
けれど、散々慣らされた身体は、指ではもう足りないと、強請るようにその指を締め付けた。
そんな身体の変化に泣けてくる。実際、快楽に溶けた目からは生理的な涙が溢れ、
周りなどもう見えない。何度も達しそうになりながら、一度も果てることができない。
ギルガメッシュの左手が、根元をきつく、戒めていた。
「ギル…ガ…メッシュ……っ」
たまらなくなって名を呼ぶと、ギルガメッシュが根元は戒めたまま、俺の中心から顔を上げる。
「発言を許した覚えは無いが?士郎。」
言って口元だけで笑うギルガメッシュ。その唇は俺の腺液で濡れて艶かしく光っていた。
「っ、うる…さい も…ぅ、さっさと……しろ…っ」
息も切れ切れに言う。
「何度も言ったはずだが。我がその気になるよう、巧く強請ってみせよ、とな。」
そんな俺にギルガメッシュはそう言って、俺の次の行動を観察するように動かなくなる。
後孔に突き入れられた三本の指もそのままぴたりと動きを止めて。
「っ、ちく…しょ…ぅ」
もどかしい身体の熱に、固く閉じた目から溢れる涙がこめかみを伝う。
その感触ですら、今の俺にはたまらなくて。こんな風に変えられてしまった身体を今更
嘆いた所で意味は無い。今はただ、欲しかった。
凶暴ともいえる 熱が。
「ギルガ…メッシュ」
相手の名を呼ぶ。閉じていた目を開き、真っ直ぐギルガメッシュの紅い目を見据える。
投げ出していた腕を持ち上げて、殆ど乱されないままのギルガメッシュの服を躊躇いがちに掴む。
「…許そう。何だ?」
ギルガメッシュがそう口にするのを聞いて、俺は。
「は…っ ゆび、じゃなく、て…お まえの……っ、い…れて く…れ。」
なんとかそれだけ口にした。なんといわれようと、もうこれ以上は口にできないとばかりに顔を背けて
再び目を閉じる。
「…まぁ、良いだろう。従順すぎてもつまらぬからな。」
ギルガメッシュはそう言うと、愉しげに笑い後孔から指を一息に抜く。
「っあ…ふ」
思わず漏れた俺の甘い声には構わず、右手で俺の左足を抱え上げ後孔をさらし、解けてあかく充血した
そこに、ギルガメッシュは自らのものをあてがう。熱に 身体が ふるえる。
「さぁ、存分に乱れよ。」
その言葉の直後。
「っああああぁっっ!!」
俺の内に巨大な質量の熱が突きこまれた。
「あっ…ア!?」
貫かれたと同時に達しそうになった、俺の中心がまたきつく戒められる。
「っひ…ぅ…っは あ…あ ァ」
途切れ途切れに喘ぐ俺をギルガメッシュは嘲笑い、
「まだ早い。愉しむのはこれからであろう?」
そう口にして。
ゆっくりと腰を引き、ぎりぎりの所でまた勢いよく突き入れる。
「あ あぅ…っはぁ んっ…んぅ う!」
意味の無い喘ぎ声だけが俺の開いたままの口から零れだす。
顎を自分の唾液で汚す。お互いの体液が接合部で混じり合ってぐちゅぐちゅと濡れた音をたてる。
「ふ…泡だって いるぞ」
ギルガメッシュがそういって接合部をなぞる。
「いっ… っや…め…っ」
震える俺をそのままに、ギルガメッシュは縁をなぞり、くすぐりもうぎりぎりまで広がっている
後孔に指を潜り込ませようとしていて
「あ…っ い、ゃだ…む、り…っァ…!」
半分恐慌状態に陥った俺を愉しげに見て、ギルガメッシュは人差し指を第一関節だけ、潜り込ませた。
「入ったぞ。わかるか?」
「…っ ふ…ぅ…っ」
わからない。わかりたくない。ただ弱くかぶりをふる俺に満足したのか、
ギルガメッシュは指を引き抜き、より深く腰をいれた。
「は…ぁっ…あ…ふ」
「今回はこれで赦してやろう。慈悲深い我に感謝するがいい。」
一度、ギルガメッシュの手のひらが俺の涙で濡れた頬を撫でる。
それで溶けかけた意識がわずかに戻る。
「頃合だ。終わらせてやろう。」
そして高みに向けて、再び動き出すギルガメッシュ。
言葉通り、これで終わる。そのことに僅かに安堵しながら、俺は与えられる快絶に喘ぎ乱れる。
内を擦りあげられて、中心を擦られて先端を抉られる。
「あっ…あ ぁ お、れ…っも…ぅっ」
限界を掠れた声で訴える。
「良いぞ。いけ」
「っあ…………っ!!!」
絶頂は声にはならなかった。やっと赦された中心から、どくんどくんと大量の精を吐き出す。
同時に内に、ギルガメッシュの精も奥深くに注がれ、その熱に身体が震える。
そしてギルガメッシュへと流れていく俺の魔力。

ああ、やっと食事が終わった。

ぐったりと沈み込んだ俺の身体から、ギルガメッシュのものがずるりと引き抜かれる。
後孔から注がれた精が溢れるその感触にぶるりと震えたが、息をゆっくり吐いて、身体を鎮める。
先ほどの絶頂で吐き出した自らの精で、白く汚れた胸と腹にギルガメッシュの赤い舌が這う。
精液にも魔力は含まれている。それはわかっているが、やはり慣れない。これならまだ、激しい
痛みはあるが、血液を提供する方がましだと思う俺は、間違ってなんかいないはずだ。
痛みは耐えられるが、快楽は耐え難いのだ。
「っ、も、いいだろ……寝たい。」
小さくギルガメッシュに訴えた。俺の言葉をきいたわけではないだろうが、ギルガメッシュはようやく
俺から離れてくれた。そのまま、用は済んだとばかりに部屋から立ち去ろうとするギルガメッシュに
俺はなんとなく問う。
「なぁ、俺って…美味いのか?」
ああ、声、がらがらだ。
ギルガメッシュは俺と目をあわせ、しばし考えるそぶりをみせ。
「雑種にしてはな。珍味、というやつだ。」
そういって わらう。
あまり嬉しい答えでもないのだが。
「そう…か。なら…いい。」
不味いと言われるよりは救われるだろう。そんな風に感じる俺はどこか壊れているんだろうか。
そこまで考えて、俺は意識を手放すことにした。
あぁ、明日、腹こわすな と最後に思った。






途中何度か、暗転させようかとか、朝チュンでいいじゃないかとか考えたりしながら。
でもたのしかった(士郎ごめん)
ギルは後始末してくれないよねーとか。初めにそれで腹こわしてその後からは、
士郎が自分で後始末してたんじゃないかな…と。
なんか金士は、食事とか餌とか血とか、そんなんばっか浮かぶ。
金→士も、士→金も何がしかの好意はもってるんだと思います。
だからギルも鬼畜になりきれないというか。自分では気づいて無いですが。
あと士郎も無理やりされてるんじゃなくて、自分が提供してやってるんだと思ってるので、
あまり悲愴感は漂わず。












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