貴い愚かさ 6
目を閉じる。
脳裏に蘇るのは、ただ一人の朋友。
目を開き、今しがた蹂躙したばかりの雑種―士郎の姿をギルガメッシュは見た。
意識を手放し弱々しい呼気を漏らしている。
剥き出しの背をなぞれば、ひくりと過敏になったであろう身体が震える。
或いは、夢の中でさえも、まだ先程までの情事が続いているのか。
身体も精神までも、自身の色に染まるのは時間の問題。
ギルガメッシュの口元が笑みの形に歪む。
コレに目をかけるのは、ただの戯れでは無いとギルガメッシュは自覚した。
初めは確かに戯れであったのだろう。
だが、今はこの愚かな在りようを認めている。
贋作者。
偽物ばかりで固められた歪で愚かなヒト。
有り得ぬ理想を追い求める愚昧。
だが、強く望むが故に、コレはいつの日か、ヒトの領域を超えるだろう。
朋友と重なりはしない。
ただ、コレも自分が愛でるべき貴い愚かさを持つヒトであった。
それだけのことだ。
ギルガメッシュは士郎の身体を仰向けて、その唇を塞ぐ。
こじ開け咥内を舌で嬲る。
身体は震えたが、意識は戻らなかった。
士郎の、抗う目が赦しを請うまで犯した。
そうして結局、最後の意識を手放す瞬間まで、赦しを請うことは無かった。
それを厭わしいと感じはしない。
寧ろどこまで抗えるのか見物だとすら思う。
士郎の頬を撫でるギルガメッシュの手は、淫らな動きでありながらも、
おそらく士郎が信じられないほどに、優しくもあった。
そして、見つめる視線も同様に。
士郎は、傲慢な王のこの一面に、まだ気付くこともなく。
ただ僅かな時間だけ、犯されぬ眠りに落ちていた。
その後、というか。
ゼロの影響を受けまくった話です。
果てしなく、ギルガメッシュの片想い状態だなコレ(笑)
士郎、折れてやれよ!という思いと、まだ絆されるな!という思いが
せめぎあっております。
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