貴い愚かさ 3
その異常に俺は目を覚ます。
そして、既に手遅れなことに気付く。
「っ、誰だ…!」
低く問うが返答は無い。仰向けに押さえ込まれている。
そいつは俺の腹に自らの膝を置き、体重をかけてきた。
ぐ、と呻く。暗闇に目が慣れてきて、それが誰なのかを知る。
浮かび上がる金の髪と赤の瞳。
「…ギルガ…メッシュ?」
俺がその名を呟くと、ギルガメッシュは俺に目を向けてきて、獰猛な笑みを浮かべた。
「お前っ、なんの、つもりで…」
相手に問い質そうとして、俺は自分の身体に力が入らなくなっていることに気付いた。
何か甘い匂いが漂っている。
それが何を意味するものだったのか、俺は全てが終わってから気付くことになる。
ギルガメッシュの手が、衣服の上から俺の胸に触れる。
数度、撫で上げられて反射的に身体が震えた。胸に触れていた手はすぐに下におりていく。
その意図に気付いてぞっとした。
「っ何する…っっ」
発した声は途切れた。ギルガメッシュの手は、明確な目的をもって、俺の下肢に、中心に触れていた。
「は…っ、っう…っ」
唇を噛み締めて、与えられる快楽に耐える。ズボンを下着ごと剥ぎ取られ、直に掴まれ、擦りあげられて、
ひゅ、と息をのんだ。その手に容赦など無く。
「っ、っぅ、くっ、んっ…ン」
声を聞かれたくなくて、唇を強く噛む。血が滲んできたのか舌先に鉄錆の味。
ふいに、ギルガメッシュの片手が俺の顎を掴んだ。ぐ、と力を込められて痛みに薄く唇が開く。
そこにギルガメッシュが、顎を掴んだその手の人差し指と中指を俺の口内へとさし入れて来る。
反射的に俺はその指に歯をたてた。その直後。
「っい…づ、ぅ…っ」
俺の中心を擦りあげていたギルガメッシュの手が、その根元を痛いぐらいに締め付けてきた。
突然せき止められた快楽、痛みに俺は呻く。生理的な涙が目尻にたまる。
ギルガメッシュの表情が見えなくなる。ギルガメッシュは俺の根元を戒めたまま
今度は俺の中心に顔を寄せ、舌と口でなぶり始めた。
「ぅ…ん、んっ、ふぅ…うっ、」
口内に指を入れられたまま、与えられる責め苦に俺はただ喘ぐ。
口内に入れられた指の意図がつかめず、苦しさに指を押し出そうと舌を動かせば、
さらにつきいれられて、咽そうになる。
口内をかき回す指、高まった中心を指で根元を戒められたまま吸い上げられ舐られ、歯をたてられて、
気が狂いそうになる。弱くかぶりをふり、それから逃れようと腰をひこうとしても、
さらに奥深くまでのみこまれて。どうすれば楽になれるのか。はやく楽になりたい。
そんなことしか、もう考えられなくて。
口から指が引き抜かれる。
「あ…は…ぁう」
意味の無い音が口から零れる。俺の唾液で濡れたその指を、俺の中心よりさらに奥の窄まりへあてがい、
数度撫でると、ぐ、とその指を躊躇いもせず押し込んできた。
それがあまりに熱く感じて。ナカが爛れそうな気がして、
「あ、あ、っ、あ、は、は…ァ」
途切れ途切れに喘ぐ。まるで何かを塗りこめるように動く指。
掻き回され、奥まで突きこまれ、その度に壊れたみたいに俺の喉からは喘ぎ声が零れた。
どれぐらい続いたのか。指が引き抜かれる。反射的に抜けていく指を締め付けた。
ギルガメッシュが嘲笑う気配。身体をひっくり返され、うつ伏せになる。
腰を引き寄せられて、熱く疼く後孔にあてがわれた熱、が。
ぐち、と音をたてて、入って、き、て
「あ…あ、ああ…っ、ぅ…あ…!!」
灼けるような熱と、強すぎる快楽。
そんなものに耐える術を、俺は、しらない。
溢れる声をとめることも、できない。
あまりによすぎて、涙が溢れた。
突き上げられ、揺さぶられて、逃げようとする身体を引き寄せられて、強く強く、抉られる。
「あ、あ、ぁ…っ、ぃや、だ…も……っ」
快楽にのまれていくのが辛い。
強請りそうになるのが怖い。
ひとかけら、残された理性で必死に堪える。
そうして、その責め苦にも終わりは訪れた。
一際深く抉られて、俺は直接触れられてもいないのに達して、その直後、
身体の奥深くに熱が叩きつけられて、俺の魔力が相手に流れていって、そのまま意識を手放し―――
―――目が覚めた。
「…っ、最悪、だ。」
確認するまでも無く、湿り気を帯びている下肢に俺は自己嫌悪する。
夢精した。しかも、よりにもよって、あの夜起きたことを夢にみて。
くそ、と毒づく。まだ身体には熱が残っていて。
俺は熱く疼く中心を取り出して、自らの手で、ただ吐き出す為だけに擦った。
「っ、ふ、ぅ」
そこ以上に身体の奥が疼くのには無視して。性急に追い上げて、自分の手に吐き出す。
身体は楽になっても、心は楽にならない。
俺はのろのろと立ち上がり、風呂場に向かう。
服を着たまま中に入ると、無造作に服を脱いで、シャワーを頭からかぶった。
初めは、身体も心も冷やそうと水にしていたけれど、
さすがに風邪をひきそうだと思い途中でお湯に替えた。
…結局。なんでもないことだと思い込んでいただけで、
俺はすごく気にしているんだと思い知る。
あの夢も、そして、身体に刻まれた熱も。
忘れられない。思い出さないようにしても夢で見てしまう程に。
…奴の意図がわかれば、少しは楽になるんだろうか。
でも、知りたくないとも思ってしまう。
知ってしまえば、後戻りができなくなるような、予感。
それ以上は考えるのはやめて、俺は目を閉じた。
まだ熱が燻っている。そんな気がした。
そんなわけで、続きですが進んでいません…士郎に悩ませてみました。
あとは、初めのえろはがっつり書いてなかったな〜とか余計なことを思って。
えーと、えろですが。ギルは上と下、両方の口から媚薬みたいなものを
塗りこめていた、ということです。
なんというか、でかい方のギルとは会話がかみあいそうに無いので、
必然的に身体の接触の方が多くなるというか、てっとり早いというか。
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