貴い愚かさ 1
夢を見た。
いや、これは記憶。あの男の。
金の髪の男が倒れ伏す何者かを見下ろしている。
倒れている男からは死の匂い。
その男に金の髪の男ーギルガメッシュが何かを問いかける。
声は聞こえない。倒れた男は涙を流しながらその問いに答える。
そうして息を引き取るのをギルガメッシュは看取った。
その時のギルガメッシュの表情が、何故か深く印象に残って…。
目覚めた時、酷く身体が痛んだ。主に下半身の奥深く。
喉も痛い。あれだけ声を上げたのだ、当然だろう。
真夜中、何の前触れもなくやってきたギルガメッシュに、眠っていた俺はたいした抵抗もできないままに犯された。
何かを使われたのだと思う。直接ナカに何かを塗りこめられてほぐされて、気づいたときにはただ身体が熱くてアツクて
貫かれて揺さぶられても喘ぐことしかできなかった。
そうして訪れた絶頂。強制的にパスが一時的に繋がり魔力が奪われる。…さっきの夢はそのせいだろう。別に犯されたことも
魔力を奪われたこともたいした問題じゃない。まぁ男の自分がこんな簡単にいいようにされるのはどうかとも思うが。
問題はそこじゃなく。夢の中でみたギルガメッシュの表情が、少し人間らしい感情を抱いていたようにみえたのだ。
いや、真実は常人には考え及ばないような、ろくでもないことを思っていたに違いないんだろうけれど。そのギルガメッシュを
みてしまって、俺はこの理不尽極まりない行為を受け入れてしまっていた。
「……どうかしてる。」
呟き、立ち上がった途端に、身体の奥から溢れ脚を伝っていく体液に眉を寄せる。汚れたシーツを腰に巻きつけて、散らばる
衣服を手に取り風呂場に向かう。今日は家に自分以外誰もいなくてよかった。いや、だからこそ、こんな目にあったのかもしれな
いが。ざっと身体を流して風呂をでて。何か飲もうと居間に向かう。そこで絶句した。何故か居間にギルガメッシュがいた。
やるだけやって、さっさと出て行ったとばかり思っていたので本気で驚いた。
「………なんでさ。」
思わず呟く。それにギルガメッシュが顔を向けてきて。
「…もう流したのか。なかなか良い有様であったものを」
とんでもない言い草に息を呑む。だが、その紅い眼を見て、急に先ほどみたばかりの夢を思い出し、つい凝視してしまった。
そんな俺に何を思ったのかギルガメッシュは。
「なんだ、また我に遊ばれたいのか?」
淫靡な笑みを浮かべながら、俺に近付き顎をつかんで覗き込んでくる。唇に息がかかる。
「…っ、冗談。二度と御免だ。」
間近にある顔を睨み付ける。そうすることしか出来なかったのだ
が、ふんと鼻で嘲笑いギルガメッシュはあっさりはなれた。
「なかなかに、良い味であったぞ。」
すれ違いざま、そう囁いて、ギルガメッシュは立ち去った。
「…俺はお前の餌かよ、くそ。」
呟きはギルガメッシュに届くことはなく闇に落ちた。
ゼロ3巻の、ギルガメッシュが昔を思い出すくだり。
それをみたとき、どうにかすれば、士郎もギルガメッシュの眼に
留まるかもなーと思ったりしたのが、この妄想のきっかけ。
ギル的には十分愛でたつもりですが士郎には伝わってない。
しかし弓といい金といい、喋り方が難しい。
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