供給
血液から魔力を吸い上げられる感覚に、身体から力が抜けていくよう。
だがアーチャーの腕が、俺が倒れることを許さない。
俺は手持ち無沙汰になり、そっと片手をもちあげて、アーチャーの髪を弄る。
アーチャーは俺の傷に唇を寄せたまま、上目で俺を一度見てきたが、
ふ、と目を伏せて、さっさと終わらせようとでも考えたのか、
俺の行動に特に何を言うでもなく、魔力摂取を続ける。
お互いに言葉は無く、静かに時が過ぎる。
傷口を這い回るアーチャーの舌。
あ、やばい。
身体の奥に、じん、と痛みだけではない、妙な熱が生じたのを自覚して、俺は焦った。
下肢に溜まる熱。
「っ、もう、いいだろ。」
俺はアーチャーの肩を押して離そうとした。
だが、がっちりと背に回された腕は微動だにしない。
訝しげにアーチャーが俺を見てくる。
「お前が摂れと、言ったのだろう。」
「だから、もう充分じゃないのかっ。」
「………。」
じっとアーチャーが俺を見る。ただそれだけのことで、俺の内に芽生えた熱がどくどくと疼く。
無意識に腰を引いた、その動きで、アーチャーの視線は俺の下肢へとおりて。
気付かれた。
「傷口を弄られて、感じたか。」
アーチャーの口の端が上がる。
かぁと自分の頬に血が集まるのを、感じた。
「っ、わかったなら、どけよ。」
俺がそう言っても、アーチャーは動かない。
いや。
「って、おい、アーチャーお前、なにしてっ」
「何、貴様がこうなったのは私が原因のようだからな。鎮めてやろうと言うのだ。」
アーチャーはうろたえる俺を無視して、俺の下肢を覆うズボンを剥ぎ取りにかかる。
俺はその行動を止めようと、アーチャーの腕を掴むが、血を失いすぎたせいで、
自分の腕はろくに力が入らず、呆気なく、俺の半ば勃ちあがった中心はアーチャーの前に晒された。
「おま、え…本気、で…?」
「ついでだ。こちらからも魔力を貰う。」
アーチャーは躊躇わなかった。
俺の中心を掴み、そのままそれを、咥え込んだ。
「!!」
熱い粘膜に、包まれる。
たまらず俺は息をのんだ。
竿を辿る舌と指。先端を何度も舐めて、腺液の溢れ出るそこを抉る。
「は…っぁ…ぁ」
容赦なく追い上げられて、思わず甘い声が零れた。
「随分、いい声で啼く。」
咥えたまま、からかうようにアーチャーが言ってくる。
「う、るさっ、い…なん、で、おまえ…そんな、なれて、るんだ、よっ」
睨みつけながら俺はアーチャーに毒づく。
アーチャーは答えず、ただ笑みを深めて、再び俺の中心を弄びはじめる。
失血と快楽で、朦朧とする。
くしゃりと力の入らない両手で、俺の中心を嬲るアーチャーの髪をかき混ぜた。
「はぁ、んっ、あ…あ、…はぁっ」
声を堪えようと思う理性も融けた。
アーチャーに与えられる愛撫をそのまま受け入れて、喘ぐ。
アーチャーの指が俺を追い上げるように、激しく俺の中心を扱いて、きつく、吸い上げられ―――
「っ!!…あ、あ!!」
俺は、溜まった熱を、アーチャーの口内に、吐き出した。
ごくんと音をたててアーチャーがそれを呑み込む。
そのアーチャーの表情を目にしてしまって、もう一度、俺は腰を震わせた。
「ぅ……っ、ふ…」
根こそぎ搾り取られたような感覚。
失血もあいまって、ぐらぐらする。
やっとアーチャーが、俺の下肢から離れ、口元を指で拭い、それさえも舌で舐めとる。
何かを言いたげに、俺に視線を向けるアーチャー。
だが俺は、それを目にしながらも、そのまま力無く、背中からベッドに、倒れ込んだ。
柳洞寺、アーチャーVSキャスター戦〜言峰士郎とアーチャー。微えろヴァージョン。途中分岐とか。
―で、アーチャーが士郎の傷の手当てをする場面に繋がります。
はたして、この士郎は、すでにギルにそういう意味で喰われ済なのかどうかは謎、ということで。
うちの言峰士郎はギルに喰われてるのがデフォルトでもいいのかもしれませんが。
どっちでもいいかなーとか。
血液から摂られてる、というのは決定ですが。
やられ済だと他カプ考える時に、居た堪れない…(笑)
昼ドラじみた展開もできるので、それはそれで楽しいかもしれないけど…
小話・雑感部屋へ戻る