歪な盾 3



  いったい何の冗談だ。 「わかるか、アーチャー。俺はおまえが殺しそこねた衛宮士郎だよ。」 目の前にいる男、召喚者はそう告げた。 数秒後、本体の記録からその言葉を理解する。 確かにあった。過去の自分を抹殺する絶好の機会に居合わせて、お互いに剣を撃ち合わせ。 そして、はじめから内にありながらも忘却していた心を思い出し敗れた。そんな出会い。 記録だけではなく、記憶も本体にわずかにある。 ならば、今目の前にいる男から察するに、あれから数年はたっているようだ。 髪は色素がおちかけてはいるが赤銅の面影を残し。 肌はところどころ褐色に変化しているようだが服で隠せる程度。 瞳の色は昔のまま。 この姿に憶えはないか。 あの時、オレはこんな姿をしてはいなかったか。 「世界と、どんな契約をした。衛宮士郎。」 声、低く問いかけると。目の前の男は晴れやかに微笑みながら。 「教えるわけないだろう、馬鹿。」 そう言った。 士郎が弓を召喚するネタ。 アーチャーが自分の死後と引き換えに英霊の力を得た瞬間が士郎にも訪れて、 士郎は自分の半生と引き換えに英霊エミヤを召喚した、というネタです。 源流が同じもの、ということで叶った裏技的な召喚というか。 本当はサーヴァントという形だからこそ、聖杯の力があるから 本体を喚んでこれるとのことですが。英霊として普通に召喚されれば、それは純粋な力としてだけで。 士郎が自分の未来の可能性の形である英霊エミヤを一時的に借り受けるみたいな感じで ちゃんと力だけでなく本体をよこせと世界に喧嘩うったのだと思います。 小話・雑感部屋へ戻る