色
「………。」
「何だ。」
「いや、今まで意識する余裕無かったからさ。…ここも、白いんだなあって思っただけだ。」
「何を今更…貴様のそれも、髪と同じ色だろう。」
「それはそうだけど。」
何の会話かといえば、まあ、あれだ。体毛の話だ。
俺は、いつも気にかける余裕なんて無く、ただ翻弄されるだけだったから。
こんなにしっかりと、この男の―アーチャーの体を見ることなど無かったので。
よくよく観察すれば成る程、アーチャーの体毛は全て白かった。
顔をじっと見れば睫毛も白い。
「頭髪だけ変化するのも不自然だろう?」
アーチャーがそう言って、少し懐かしむような目で俺の髪を見て、指先で触れてくる。
摘んで、く、と引かれて。
どこか擽ったい気持ちになる。
それを誤魔化すように俺は既に形を変えているアーチャーの中心の熱に顔を寄せた。
手で竿を支えて先端に口付ける。
もうこんな真似をすることに躊躇いなどない。
我ながら不思議だ。
唯一、アーチャーが感じる姿を落ち着いて見ることが出来るからかもしれない。
俺の拙い愛撫に応えてくれるアーチャー。それが、嬉しい。
口内に導いて強く吸う。
ふ、と上から吐息。
視線だけ上に向けると、眉を寄せてなにかを堪えるような切ない貌。
アーチャーの感じている貌。
可愛いと思うようになったのも、いつからだったか。
そのうちアーチャーのことを抱きたいと思う日もくるんだろうか。
なんとなくアーチャーが物凄くショックを受けそうな気がする。
思わずアーチャー自身を口に含んだまま、喉の奥で笑ってしまった。
「…何が、可笑しい。」
不機嫌そうな声。
一度口から出して顔を上げて、なんでもないと言っても、訝しむような視線を投げてくる。
まさかさっき思ったことを言うわけにもいかず、とりあえず続けることにした。
再びアーチャーのものを銜える。しゃぶる。
浮き出た血管を舌で感じる。独特の苦味だとか。
陰のうをつつむように押さえ、会陰部を指で擽って。
もう片方の手で、白い陰毛を撫でる。ざらりとした触感。
俺が実際にアーチャーにされたことを、そのままなぞっているだけ。
俺がそうされて気持ちいいのだから、間違いはないだろう。
その証拠にアーチャーの息は熱く、いつの間にか頭に添えられていた手が、俺の髪を掻き混ぜる。
自分がされている時をリアルに思い出して、触れてもいないのに俺の中心は既に勃ちあがっている。
後孔の奥が疼く。
ああ、本当に、すっかり取り返しのつかない体になってしまった。アーチャーのおかげで。
「は……、っ、出す、ぞ」
余裕のないアーチャーの声。
タイミングを見計らってきつく吸い付くと、噛み殺したアーチャーの声と共に喉の奥にどろりと熱い飛沫。
「ん、む……っ、う」
抗わずに注がれた精を呑み込む。
苦いし生臭いし、間違っても旨いものじゃないのに、満たされる感じがする。
俺はこいつが好きだから。
この瞬間は、いつもそう、再認識する。
ずるりと力を失ったアーチャーのものが口から抜け落ちる。
は、と熱い息を吐き出せば、口端から垂れた精液を拭うアーチャーの手。
「随分、手慣れたものだな。」
からかうようなアーチャーの声。
「誰のせいだよ。」
苦笑まじりに答えて、俺は胡坐をかくアーチャーの上に乗りあがる。
「ああ……私の、せいだな。」
「解ってるんなら、きっちり責任とれよ。」
腰を押し付けてアーチャーの首に腕を回せば、腰に巻きついてくる男の腕。
アーチャーは自分の精液にまみれた俺の唇を吸ってくる。
あとは、いつも通り。
互いの体に、溺れるだけだ。
カラーでアーチャーの足に白いすね毛を描いたあと、なんか体毛萌えした結果。
あそこの毛も白いよねーとか、そんな。
褐色の肌とのコントラストがいいよね。
うん。コアでごめん。
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