「っ、あ…ぅ…――あ、ぁ っ」 直腸を熱の塊に侵される。 限界まで広げられた後孔はじくじくとした痛みと疼きを訴え続けて。 ぐちゅ、と粘着いた音はひっきりなしに聞こえてくる。 自分が身に纏うのは左腕に巻き付けている赤い布だけ。 対して、俺を侵している男は黒の神父服を纏ったまま、下衣だけを乱している。 「……感じ易いのだな、衛宮士郎。」 嘲笑を含んだような声音が落ちる。 「…ァ、 っ み、 …ね――」 掠れた声でその男の名を口にすると、縋るような響きを帯びていて、しまったと思う。 「哀れな羊を救うことは私の務めでもあるが。さて、どうする?お前はそれを、望むか。」 男の言葉。 救いが、何を意味するのか。 ―――いや。どんな救いであろうと…。 「…お、まえ の、手は…、ぜ ったい、とら ない……っ!」 途切れ途切れに、だがはっきりと俺は拒絶した。 そうか、と返した男は嬉しげに笑っていた。 腰を前後に揺らされる。 時折速さを変えて。 その度に、堪えられない喘ぎが喉の奥から押し出されて。 ぬるりと唇に感触。 至近に男の顔。 目の奥は闇。暗い。真っ黒。 舌の赤が鮮やか。その舌が俺の肌を這う。 味わうように。喰らわれている、と。 胸の尖りを吸われ、腰が痺れる。 噛まれ、また吸われ。 張り詰めた中心を掴まれ、扱かれて。 「ぃ…っ、や め ……ゃ だ…ぁ あ」 上り詰めそうで頭を振って下のシーツを握りしめた。 内部の前立腺を抉る動きも更に強く。 視界が 白く 染まる 「―――――あ ぁ……!!!」 体が跳ねて、熱が弾けた。 男の手が、俺が吐き出したもので白く汚れる。 達した体に引き続き、容赦なく与えられる快楽。 男はまだだった。 過敏になった内部を擦られるのは、もはや苦痛。 それも、暫くしてやっと、終わりが訪れる。 男は息を詰め、奥深くで動きを止めて。 叩きつけられた欲。 じわりと熱が広がる。 そこで 俺の意識は 堕ちた――― 全身にじっとりと嫌な汗。 心拍数も上がっている。 目覚めて一番初めに確認したのは左腕。 ちゃんと、自分の腕だ。 は、と息を吐き出し、次に意識を向けたのは下肢。 確認するまでも無い。……やってしまった。 「……なんで、あんな、夢……っ」 自分自身、信じられない。 よりにもよって、あの言峰綺礼に侵されている夢を見るなんて。 ただの夢のはずだ。あんな記憶はない、はず。 なら何故。 言峰綺礼はもういない。 あの神父は死んでいる。 俺とあの神父との関係など、――天敵、としか。 ただ、自分でも不思議なのは、驚愕はあっても嫌悪感は無い、ということだった。 それでも最悪な目覚めであることに間違いはない。 まだ明け方近く。 俺は布団から抜け出し、後始末の為に着替えを持って風呂場に向かった。 幸い汚れたのは自分の服だけ。 さっさと忘れようと思う。 だが結局、しばらくその夢を――言峰綺礼を――忘れることはできなかった。 ホロウ期間ということで。 言士はやっぱりHFだなぁと。士郎→言峰がはっきりしてるから。 こんな可能性もあった、かもしれない、とか。