「匂いさえも消えた」 P3P 荒ハムで荒←真な真ハム





「何かつけてるのか?」 「え?」 タルタロスを探索している時、真田は前を行く少女にそう声をかけた。 少女はきょとんとしている。言葉が足りなかったかと真田は続けて言った。 「お前から懐かしい匂いがしたから。」 すると少女は疑問符を飛ばしながら暫く考え込んでいたが、 「特になにもつけてませんよ。シャンプーの匂いかなぁ…」 自分の髪をつまみながら真田に答えを返した。 そうかと真田は頷き、それを待っていたかのように横から荒垣が声をかける。 「無駄話はそこまでだ、行くぞ。」 「ああ。」 「はいっ」 荒垣の言葉に真田も少女も頷き、探索を再開する。 先導する少女の後ろを守るように荒垣が真田の前に出る。 その時、真田はふいに理解した。 『彼女から、シンジの匂いがしたんだ。』 何故、彼女から荒垣の纏う匂いがしたのか、その時の真田はあまり深くは考えなかった。 ただ納得しただけだった。 最近良く一緒にいるからなと、それは自分にも言えることだったので、そんな風に思っただけで。 そう、考えなかっただけだ。その時に感じた僅かな胸の軋みの理由を。 くたりと腕の中で意識を失った少女。 背後から少女の内に穿っていた自身を引き抜いて、裸の背に口付ける。 「……せん ぱい」 小さく『誰か』を呼ぶ声。項に顔を埋めて抱きしめる。 初めて抱いた時にはまだあった荒垣の匂い。 その匂いさえも消えた。 今はきっと自分の匂いしかしないのだろう。 それが少し物悲しくて、真田は少女をいつも『荒垣のベッド』で抱く。 不在である彼を想いながら、少女にぶつける。 少女はその全てを、その体で必死に受け止めていた。 薄暗くなっても仕方ないよね!!!! いやもうほんと、ごめん。 長い時間後のタルタロスでの出来事でした。 リクありがとうございましたー!