自然の驚異に晒される。 そんな感覚と一緒だった。ギルガメッシュとの性行為は。 台風だとか地震だとか、そんなものに一般的な人間は太刀打ちなんて出来ない。 それと同じ。俺の抵抗は本当にちっぽけなもののようで、 俺の意思など無いもののようにギルガメッシュは俺を抱く。 半分ぐらいはなんとなく諦めていたが、もう半分は一応男としての意地が残っていて。 そんな所が逆にギルガメッシュを煽っているんだろうなとは薄々気付きながらも、 結局、俺は繰り返す。 「――――――――あ、ぁ」 腹の奥深くに何度目かの精が注がれる。 俺自身からは、もう出すものが無いとばかりに薄くなったものが少量、ぱたりと腹の上に落ちていた。 もう無理だ。そう思ったのも何度目だろう。 ずるりと内からやわらかくなったものが引き抜かれて、身体が震える。 目を閉じて呼吸を整えていた俺の頬に何かが触れる。 それは拭うように動いて、そのまま髪を撫でられる。 薄く目を開くと、至近距離に赤い光。ギルガメッシュの瞳。 唇が重ねられる。 口付けは、正直に言うと好きだ。 相手の傲慢な言葉も、自分の無意味な言葉も、封じることができる。 「…ギルガ、メッシュ……」 唇が僅かに離れた隙に名前を呼ぶと、男は血の色をした目を細めて再び俺の頬を撫でる。 「どうした、雑種。」 ギルガメッシュが俺の名前を呼ぶことは殆ど無い。 そのことにも慣れた。 俺は力の入らない腕をギルガメッシュの首に回して引き寄せて、自分から口付けた。 後先なんて考えていない。ただ、そうしたかった。それだけ。 ギルガメッシュは何度かゆっくり瞬いた後、小さく笑った。 その笑みは、いつもの嘲笑の類とは違っていて、俺は息を呑む。 『その顔が見れただけで充分』 そう感じてしまう俺は、すっかりこの金色の王に絆されているようだ。 ギルガメッシュがまた覆い被さってくるのを、俺は受け入れるようにその手を男の背中に回した。 金士は、いかに士郎が金ぴかを許容できるかだと思う。