クリスマスイブ。 いつの間にか俺の家でパーティーをすることになっていた。 いつもの衛宮邸の住人たちに加えて、教会、寺、所構わず顔見知りのみんなが集まってきて大騒ぎになった。 そして日付が変わりそうな時間にやっとお開きに。 本格的に片付けるのは翌日でいいだろうと軽く片付けて、その後、みんなそれぞれに解散した。 「ふう。」 洗い物だけ済ませた俺は一つ息を吐く。 そこに、 「空き瓶、こっちでいいのか。」 ランサーが何本かの空き瓶を持ってやってきた。 勿論中に入っていたのはアルコール類だ。 クリスマスだが、酒の種類は様々だった。 藤ねえが殆ど用意していたので、日本酒が多かったようだが。 ランサーはかなり飲んでいたと思うが、常と変わらない。 素直に感心してしまう。酒に強いのは羨ましい。 アーチャーも飲んでいたが、ランサー程ではなかったし、顔が少し赤くなっていたように思う。 「なあ坊主。コレ、使っても良いか?」 ランサーに呼びかけられて、指差す先を見た。 テーブルの上の燭台。そこには短くなった蝋燭が立っている。 クリスマスキャンドル。女性陣が用意したものだ。 「いいと思うけど、何に使うんだ。」 そう言った俺にランサーは口元に笑みを浮かべ、部屋の電気のスイッチに手を伸ばす。 パチンという音と共に部屋は真っ暗になった。 すぐにランサーが何かを呟くのが耳に届いて、蝋燭に火が点る。 ルーンを使ったようだ。 ぼんやりと浮かび上がるランサーの姿。 俺もランサーから見ると同じような感じだろう。 ランサーが燭台を持ち上げて、俺と向き合い、 「クリスマスイブってのは、坊主の国では恋人と二人で過ごすもんなんだろ。そう聞いたぜ。」 実にさらりと、そんなことを言ってきた。 言われたことをすぐに理解できず、俺は暫く間の抜けた顔をしていたことだろう。 理解して、頬が熱くなるのを感じた。 正直に言うと、目の前の男から『恋人』という言葉が出たことに驚いた。 「メリークリスマス。」 ランサーはそう言って俺に燭台を差し出す。俺はそれを受け取って、 「メリー、クリスマス。」 なんとか同じ言葉を返す。 ランサーは笑みを浮かべて、ふっと蝋燭の火に息を吹きかけた。 すぐに火は消えて、また辺りは暗闇に。 驚いた俺の唇に重なる熱。 すぐにそれは離れて、パチリという音と共に電気がつけられた。 「顔、真っ赤だぜ。士郎。」 「っ」 予想外のことが立て続けに起こって混乱する俺に、ランサーの楽しそうな声。 悔しくて俺は、燭台をテーブルに置いてから、少し背伸びしてランサーの唇に噛み付いた。 ロマンチックあげーるよー。ランサーはさらっとカッコイイことしそうだなーとか。 リクエストありがとうございました!